【ものの芽】
ものの芽や雨の匂ひの夫帰る 　　　　　　藤木倶子
ものの芽にかがめばありぬ風すこし 　　　久保田万太郎
土塊を一つ動かし物芽出づ 　　　　　　　高浜虚子
ものの芽や地ねずみ雪をかき分けて　　　 戸川幸夫
わすれゐし物の芽そろふ雨籠り 　　　　　水原秋桜子
ほぐれんとして傾ける物芽かな 　　　　　中村汀女
青もかち紫も勝つ物芽かな 　　　　　　　中村草田男
物芽出て指したる天の真中かな 　　　　　松本たかし
ものの芽や雨後の大地は声発す 　　　　　椎橋清翠
ものの芽の谷の深きに養魚守　　　　　　 秋篠光広
流れとも云ふ程でなし菖蒲の芽 　　　　　高木晴子
どの芽とも踏むまじくして踏まれけり　　 稲畑汀子

明日の兼題は、「巣立鳥」です。