2月後半のサークル句会の選句結果です。今回の一席は、昇峰の「ものの芽」句、二席は、しょうくさんの「春兆す」句、三席は昇峰の「巣立鳥」句でした。先月と同じく、初春の句に点が集まり易いのは、実景を見て共感することが出来るからかもしれません。次回は仲春です。引き続きよろしくお願い申し上げます。

一席（◎◎◎◎〇〇〇〇）
　　70.ものの芽の息するやうにほぐれけり　　　　　昇 峰
二席（◎◎〇〇〇〇〇）
　　38.雑木山ほんのり膨れ春兆す　　　　　　　　　しょうく
三席（◎◎〇〇〇）
　　01.いくさなき空の青さや巣立鳥　　　　　　　　昇 峰
５点句（◎〇〇〇〇）
　　66.盆梅のほのかに匂ふ書道展　　　　　　　　　さんせん
　　　（〇〇〇〇〇）
　　73.良き事の予感膨らむ初音かな　　　　　　　　夢追人
３点句（◎〇〇）
　　37.早春の光を廻す水車小屋　　　　　　　　　　昇 峰
　　　（〇〇〇）
　　06.梅一輪咲かせ古木の気迫かな　　　　　　　　夢追人
　　14.元祖てふ暖簾古びし蕨餅　　　　　　　　　　山椒の実
　　35.浅春の木立に透ける天主堂　　　　　　　　　さんせん
２点句（◎〇）
　　04.宇宙への旅の切符や春の夢　　　　　　　　　panapana
　　27.冴返る駱駝の膝の坐り胼胝　　　　　　　　　利 明
　　36.浅春の泥濘のこる木馬路　　　　　　　　　　苦 瓜
　　　（〇〇）
　　05.疎ましきものの一つに恋の猫　　　　　　　　さんせん
　　11.風までも焼き尽くしたる焼野かな　　　　　　panapana
　　39.卒業やふるさと更に遠くなり　　　　　　　　利 明
　　40.それぞれに小さき影得る蕗の薹　　　　　　　方 舟
　　42.土の香や大地の鼓動春浅し　　　　　　　　　俊 雪
　　49.春一番振り切れさうな風見鶏　　　　　　　　さんせん
　　50.春が来て老いて尚ます好奇心　　　　　　　　そよかぜ
　　52.春寒し指の欠けたる飛鳥佛　　　　　　　　　しょうく
　　53.春寒し余白埋まらぬ日記帳　　　　　　　　　方 舟
１点句（◎）
　　07.梅が香やふと立ち止まる散歩道　　　　　　　夢追人
　　　（〇）
　　08.大潟や列車を隠す焼野煙　　　　　　　　　　麦 秋
　　09.おそらくは言ひ分ありぬ犬ふぐり　　　　　　昇 峰
　　16.貴婦人を思わす姿さより釣る　　　　　　　　secchan
　　19.啓蟄や焙煎の豆飛び跳ぬる　　　　　　　　　利 明
　　20.恋猫の声にもありや重力波　　　　　　　　　secchan
　　21.公園の鉄のベンチや風光る　　　　　　　　　俊 雪
　　22.紅梅の香りあふるる路地あかり　　　　　　　panapana
　　29.静かさや大和を匿す春の雪　　　　　　　　　利 明
　　30.下萌えの野辺を駆け行く子らの声　　　　　　secchan
　　34.石庭の砂引く僧や冴え返る　　　　　　　　　方 舟
　　51.春風や心密かに夢を持つ　　　　　　　　　　泥 舟
　　59.日の当たる場所より春の近づける　　　　　　そよかぜ
　　64.堀巡る炬燵舟より城仰ぐ　　　　　　　　　　そよかぜ
　　65.梵鐘の響き春愁払ひけり　　　　　　　　　　方 舟
　　67.まんさくや神話の里の廃れ陵　　　　　　　　麦 秋　
　　69.持て余す持病色々春愁ひ　　　　　　　　　　泥 舟
　　74.横浜の東風は海より風見鶏　　　　　　　　　方 舟
無点句
　　02.浮雲を浄土へ誘ふ風光る
　　03.うごいすや在所を望む峠径
　　10.風花や句友の葬の散華かな
　　12.硝子戸の建て付け悪し余寒なほ
　　13.川風の頬をなぶるや猫柳
　　15.宜野座より猛虎旗の舞ふ春一番
　　17.旧街道人通りなく冴返る
　　18.剪られたる大木目醒むる欅の芽
　　23.紅梅の空突く色のきはだてり
　　24.この声の園に響いて春めける
　　25.冴返る大崎八幡大焚火
　　26.冴返る終電あとの改札口
　　28.差懸の階昇る修二会かな
　　31.芝焼きの炎堤を駆けのぼる
　　32.食絶ちて後追ひしと聴く春寒し
　　33.殿を努めて咲くや薄紅梅
　　41.丹頂の釧路湿原雪催ふ
　　43.堂堂たる弊衣破帽や大試験
　　44.鳥帰る奈良には高き塔いくつ
　　45.なおざりの狭庭芽吹きの色となる
　　46.海苔を干す香りとどきし海ほたる
　　47.梅林に浮かぶがごとく曽我の富士
　　48.春一番野山の木々を揺り起こす
　　54.春寒し廊下の暗き泌尿器科
　　55.春寒の風引き連れて人通る
　　56.春寒や腰の膏薬貼りなほす
　　57.春隣額にかかる潮しぶき
　　58.ひとかたまり青空集めいぬふぐり
　　60.氷上で跳ぬる公魚榛名富士
　　61.ふくらむ芽弾けんばかり白木蓮
　　62.蛇も慌て鴨もふためく野焼きかな
　　63.ほどほどといふことはなし冴返る
　　68.室の花女流歌人の淡き恋　　　　　　　　
　　71.モネ・マネの睡蓮に吹く春北風
　　72.ゆくりなく麒麟の咀嚼春の雲
　　75.渡良瀬の大池かすむ野焼きかな

評点につきまして間違いがありましたら、お早めにお申し出ください。

選者（敬称略）

泥 舟　そよかぜ　TOTORO　山椒の実　方 舟　俊 雪　苦 瓜　しょうく　さんせん　利 明　Tiger 6　secchan　夢追人　昇 峰