【法師蝉】
人の辺にゐてひと遠し法師蝉 　　　　古賀まり子
法師蝉何か急かるる老いの身に 　　　加倉井信子
一介の今も書生よ法師蝉　　　　　　 古館曹人
声そろへ摂社末社の法師蝉 　　　　　鷹羽狩行
杉山はどこより暮るる法師蝉 　　　　森 澄雄
法師蝉しろがねのこゑ放ちけり 　　　小川軽舟
法師蝉聞き入る苔の佛たち 　　　　　田所一滴
法師蝉雨に明るさもどりけり 　　　　冨山俊雄
法師蝉鳴いてさみしきものふやす 　　宮澤映子
鳴きとほすための高さに法師蝉 　　　池田秀水
岬端の岩落ちさうに法師蝉 　　　　　右城暮石
芳一の空耳に似てつくつくし　　　　 清水基吉

明日の兼題は、「茗荷の花」です。