【蝶】
方丈の大庇より春の蝶 　　　　　　　高野素十
初蝶来何色と問ふ黄と答ふ　　　　　 高濱虚子
初蝶や吾三十の袖袂 　　　　　　　　石田波郷
あをあをと空を残して蝶分れ 　　　　大野林火
蝶の空七堂伽藍さかしまに　　　　　 川端茅舎
磨崖仏おほむらさきを放ちけり 　　　黒田杏子
山国の蝶を荒しと思はずや　　　　　 高浜虚子
光よりこぼれて蝶の生まれけり 　　　落合水尾
山の蝶風乗りかへて谷渡る 　　　　　三宅 桂
初蝶やそれより白き波がしら　　　　 鈴木真砂女
蝶墜ちて大音響の結氷期 　　　　　　富澤赤黄男
山の蝶草にとまりて花となる　　　　 今井千鶴子
早瀬まで来て引きかへす初の蝶 　　　伊藤伊那男

明日の兼題は、「木の芽」です。