３月前半のサークル句会の選句結果です。今回の一席は、方舟さんの「雛」句、二席は、昇峰の「暖か」句、三席は利明さんの「卒業」句でした。一席の「雛」の句は、それほど長い留守ではないのでしょう。それでも暗くなった時のことを考えて「雪洞」を灯してから出かける情景です。佳い句を読ませていただきました。次回も仲春です。引き続きよろしくお願い申し上げます。

一席（◎◎○○○○○）
　　84.留守居する雛に雪洞灯し置く　　　　　　　　　方 舟
二席（◎◎◎○○○）
　　04.あたたかや日に一便の島渡船　　　　　　　　　昇 峰
三席（◎○○○○○）
　　32.校門に礼深々と卒業子　　　　　　　　　　　　利 明
４点句（◎○○○）
　　28.啓蟄や貸菜園の賑はひぬ　　　　　　　　　　　方 舟
　　　（○○○○）
　　18.折り紙の折り目きつちり紙雛　　　　　　　　　夢追人
３点句（◎○○）
　　39.仕上がりに少し間のある初音かな　　　　　　　TOTORO
　　46.千年の銀杏切り株ひこばゆる　　　　　　　　　方 舟
　　　（○○○）
　　13.エプロンを広げ今夜の花菜摘む　　　　　　　　TOTORO
　　23.旧街道旧家それぞれ雛飾る　　　　　　　　　　山椒の実
　　26.句座さ中初音に遇ふといふ至福　　　　　　　　夢追人
　　27.クレヨンの赤が足りないチューリップ　　　　　昇 峰
　　47.対岸は矢切の渡し揚雲雀　　　　　　　　　　　しんい
　　64.春うらら進水式の万国旗　　　　　　　　　　　TOTORO
　　76.方言で語る民話や朧月　　　　　　　　　　　　夢追人
２点句（◎◎）
　　68.被災地に人帰り来ず木の芽吹く　　　　　　　　secchan
　　　（◎○）　　　
　　16.奥琵琶湖大空高く鳥帰る　　　　　　　　　　　secchan
　　79.まどろめば若き日のこと春霞　　　　　　　　　そよかぜ
　　　（○○）
　　05.あたたかや賓頭盧さんの膝頭　　　　　　　　　苦 瓜
　　10.薄氷を一跨ぎしてハイヒール　　　　　　　　　泥 舟
　　20.嫁せし子の雛を飾りて三十年　　　　　　　　　俊 雪
　　34.御神火の山へと続く島椿　　　　　　　　　　　panapana
　　40.下萌や女人高野の獣道　　　　　　　　　　　　panapana
　　48.短冊の文字浮き立つや春灯　　　　　　　　　　泥 舟
　　54.手土産の鶯餅に茶を点てて　　　　　　　　　　secchan
　　58.のどけしや水琴窟の竹青し　　　　　　　　　　しんい
　　70.人々に踏まれて吉野山笑ふ　　　　　　　　　　苦 瓜
　　72.鬢付のことさら匂ふ春夕べ　　　　　　　　　　山椒の実
　　78.また鳴ると見せて春雷それつきり　　　　　　　昇 峰
１点句（◎）
　　11.梅が香や瀬戸内航路島伝ひ　　　　　　　　　　利 明
　　73.ふくしまは遠く仮設に春の雨　　　　　　　　　方 舟
　　77.まさをなる空より雲雀落ちにけり　　　　　　　しんい
　　　（〇）
　　02.あえぎつつ出羽の雪解五重塔　　　　　　　　　panapana
　　08.伊勢詣米寿の姉を祝ぎて　　　　　　　　　　　secchan
　　09.一歩二歩三歩前進青き踏む　　　　　　　　　　しょうく
　　21.徒遍路瀬戸の小島を一望に　　　　　　　　　　昇 峰
　　36.ささやかな授賞の知らせ花の雨　　　　　　　　麦 秋
　　37.三月の去りゆく水の速さかな　　　　　　　　　しょうく
　　45.銭湯に力士来ている浪花場所　　　　　　　　　山椒の実
　　66.春はこぶ浪花の街に大相撲　　　　　　　　　　panapana
　　67.蘖や未熟児かくもいとほしき　　　　　　　　　麦 秋
　　81.山間を怒号をあげて雪解川　　　　　　　　　　泥 舟
　　82.病癒え一歩確かめ青き踏む　　　　　　　　　　しょうく
無点句
　　01.愛犬と子とボール追ひ野に遊ぶ
　　03.明けやらぬ空は鈍色春の空
　　06.暖かや絵の具と共にスケッチに　
　　07.天城より踊り子来しや桜餅
　　12.ＳＬや山野を縫うて風光る
　　14.おいらくや三椏いろの恋ごころ
　　15.大川は溢れになりけり春の雷
　　17.朧夜の湖畔の櫓音失ひぬ
　　19.かげろふや畑に帯ひ浮く杜の森
　　22.桂剥きの雪洞添へて雛の膳
　　24.行儀良く並ぶこけしや春灯
　　25曲水の今に伝える天満宮
　　29.啓蟄や連なりて行く車椅子
　　30.豪快に笑う人居て白木蓮
　　31.紅白の幔幕煽る春の風
　　33.苔の上雨に濡れたる落椿
　　35.さざ波の竜田の流れ花あかり
　　38.三色菫育て清楚な未亡人
　　41.春宵や赤提灯に外雀
　　42.小学校一年生だチューリップ
　　43.沈丁の香を嗅ぎにくる千の風
　　44.沈丁の香りて庭の息吹きけり
　　49.蒲公英の勲章光る畔の隅
　　50.小さくも赤みを帯びし桜の芽
　　51.チューリップ咲く喜びをあと少し　　　　　　
　　52.鳥獣をあまた侍らせ山笑ふ
　　53.椿咲く天津乙女と名づけられ
　　55.滔々と波晴れ晴れと雛の舟
　　56.土手を行く走るマシンや風光る
　　57.菜の花の花青空をひとり占め
　　59.白梅に立ちて紅梅遠見かな
　　60.白梅やお蔦主税のドラマかな
　　61.白木蓮の爪尖らする雨催ひ
　　62.花菜風三鉄の窓あけ放つ
　　63.春嵐八十歳が目前に
　　65.春炬燵グラビア多き週刊誌
　　69.被災地の高台移転木の芽吹き
　　71.独り身の子の末案じ山笑ふ
　　74.ふくらむ芽弾けんばかり白木蓮
　　75.ふらここの小学生に戻りたし
　　80.万葉に玉藻と謡ふ海苔香る　
　　83.山笑ふ将軍塚のかつかつと
　　85.老集う何時もの話山笑う

評点につきまして間違いがありましたら、お早めにお申し出ください。


選者

泥 舟　しんい　そよかぜ　Tiger 6　ワシモ　俊 雪　利 明　secchan　さんせん　しょうく　TOTORO　夢追人　山椒の実　方 舟　苦 瓜　昇 峰