【春愁】
春愁の或る日山椒魚を見に 　　　　　　　西島麦南
春愁の渡れば長き葛西橋 　　　　　　　　結城昌治
春愁の鏡を拭きて消えぬもの 　　　　　　鷹羽狩行
春愁や稽古鼓を仮枕　　　　　　　　　　 松本たかし
春愁や着馴れし服の匂ひにも 　　　　　　桂 信子
春愁やかなめはづれし舞扇 　　　　　　　鷲谷七菜子
うすうすとわが春愁に飢もあり　　　　　 能村登四郎
ありありと春愁の眉阿修羅像　　　　　　 倉橋羊村
春愁や葉がちとなりし花の雨 　　　　　　日野草城
春愁に魁けて雨降りはじむ　　　　　　　 三宅 桂
縁とは絆とは春の愁かな　　　　　　　　 富安風生
目薬をさせば春愁あふれくる　　　　　　 高橋悦男

明日の兼題は、「独活」です。