【行く春】
行く春を近江の人と惜しみける 　　　　芭 蕉
春尽きて山みな甲斐に走りけり 　　　　前田普羅
逝く春や波のあるとき波がしら 　　　　鈴木真砂女
行春や鳥啼き魚の目は泪 　　　　　　　芭 蕉
ゆく春や四国へわたる旅役者 　　　　　吉井 勇
行く春や手鏡ほどの忘れ潮 　　　　　　大畑峰子
ゆく春や星根のうしろのはねつるべ 　　久保田万太郎
ゆく春やおもたき琵琶の抱心 　　　　　蕪 村
去りゆきし春を種火のごと思ふ 　　　　藤田湘子
行春や版木にのこる手毬唄 　　　　　　室生犀星
行春やうしろ向けても京人形 　　　　　渡邊水巴
ゆく春や流人に遠き雲の雁 　　　　　　飯田蛇笏

明日は、「今週の俳句」です。