5月前半のサークル句会の選句結果です。今回の一席は、麦秋さんの「郭公」句、二席は、昇峰の「若葉」句、三席は、泥舟さんの「サングラス」句でした。一席は、日本の原風景ともいうべき古き良き抒情たっぷりの句で、季語の「郭公」が効いています。今月もたいへん素晴らしい句を読ませていただきありがとうございました。次回は、梅雨の時期を迎えます。また、よろしくお願い申し上げます。

一席（◎◎〇〇〇〇〇）
　　17.郭公や竿で押出す渡し舟　　　　　　　　　　　　麦 秋
二席（◎〇〇〇〇〇）
　　24.蔵町の古き街なみ蔦若葉　　　　　　　　　　　　昇 峰
三席（〇〇〇〇〇）
　　11.老いてなほ変身願望サングラス　　　　　　　　　泥 舟
4点句（〇〇〇〇）
　　13.杜若板橋低くありにけり　　　　　　　　　　　　山椒の実
　　44.擦り傷は元気な証拠子供の日　　　　　　　　　　夢追人
　　69.踏切の警報止まぬ薄暑かな　　　　　　　　　　　panapana
3点句（◎◎〇）
　　74.舞了へて闇に消えゆく薪能　　　　　　　　　　　苦 瓜
　　84.老鶯や眼下にのぞむ関八州　　　　　　　　　　　昇 峰
　　　（◎〇〇）
　　52.鉈傷に余花の影さす千光寺　　　　　　　　　　　さんせん
　　　（〇〇〇）
　　26.健脚は自慢の一つネギ坊主　　　　　　　　　　　そよかぜ
　　39.新緑のしまなみ海道繋ぐ橋　　　　　　　　　　　panapana
　　43.墨絵めく遠山並や夏来る　　　　　　　　　　　　泥 舟
　　47.蒼天を峰から峰へ鯉のぼり　　　　　　　　　　　secchan
　　51.共に老い共に健やか夏に入る　　　　　　　　　　方 舟
2点句（◎〇）
　　03.石山の石の標や薄暑光　　　　　　　　　　　　　苦 瓜
　　14.景清の幽か煙れる薪能　　　　　　　　　　　　　麦 秋
　　81.山道の小さき祠若葉かぜ　　　　　　　　　　　　そよかぜ
　　82.行く春や薄日に翳る連子窓　　　　　　　　　　　さんせん
　　　（〇〇）
　　01.過ちを繰り返しつつ更衣　　　　　　　　　　　　しんい
　　22.金髪の人の鉢巻き祭笛　　　　　　　　　　　　　panapana
　　23.グラウンドの真白きライン風薫る　　　　　　　　泥 舟
　　40.新緑の真つ只中の札所寺　　　　　　　　　　　　TOTORO
　　48.竹秋の朽ち葉を踏んで奥嵯峨野　　　　　　　　　さんせん
　　49.Ｄ51の勾配のぼる麦の秋　　　　　　　　　　　　方 舟
　　54.伸びしろは無限の値こどもの日　　　　　　　　　しんい
　　56.廃校の尊徳像や若葉光　　　　　　　　　　　　　panapana
　　79.名水を汲む葉桜の影のなか　　　　　　　　　　　方 舟
　　85.若葉雨彩を濃くして三笠山　　　　　　　　　　　山椒の実
1点句（◎）
　　02.有り無しの風を捉へて藤の花　　　　　　　　　　しんい
　　06.命燃ゆ日毎彩増す柿若葉　　　　　　　　　　　　俊 雪
　　30.木洩れ日の踊る墨堤花は葉に　　　　　　　　　　さんせん
　　63.バリカンの坊主三人こどもの日　　　　　　　　　利 明
　　72.牡丹の風と遊びて崩れけり　　　　　　　　　　　そよかぜ
　　　（〇）
　　04.「市松」を世界に発信江戸の春　　　　　　　　　俊 雪
　　05.一万歩歩くが日課夏帽子　　　　　　　　　　　　夢追人
　　15.貸切りの湯ぶね眩しき若葉かな　　　　　　　　　しんい
　　19.干拓の農道広く麦の秋　　　　　　　　　　　　　方 舟
　　21.教会の門扉を囲む花いばら　　　　　　　　　　　さんせん
　　25.薫風の通り道なり梓川　　　　　　　　　　　　　利 明
　　27.高原の廻る風車や風薫る　　　　　　　　　　　　苦 瓜
　　28.濃き淡き緑耀く里の山　　　　　　　　　　　　　secchan
　　38.職退きし日よりが余生桐の花　　　　　　　　　　昇 峰
　　41.新緑や木々のお喋りとめどなく　　　　　　　　　利 明
　　46.先達の声も明るき藤の寺　　　　　　　　　　　　TOTORO
　　58.花茨灯台守は今日不在　　　　　　　　　　　　　麦 秋
　　62.母の日の花束重く胸に抱く　　　　　　　　　　　泥 舟
　　65.ひとすじの雲従えて五月富士　　　　　　　　　　しょうく　
無点句
　　07.浮草や人は気儘と云ふけれど
　　08.鬱きことを洗い流せし花みかん
　　09.唄ならぬ茶摘み機響く富士晴れて
　　10.卯浪たち黒風白雨来るならむ
　　12.追ひ回すカメラ躱してせせり蝶
　　16.風無くば白藤揺るること忘れ
　　18.看護婦の肩を借りてや更衣　　　
　　20.喜寿こえて少し若めの更衣
　　29.ことごとく名札大きく菖蒲園
　　31.さくらんぼジャム煮てをれば正午くる
　　32.五月場所本所深川街めぐり
　　33.五月晴れ大山聳ゆ雲ぽかり
　　34.五月晴れ国旗掲げて深呼吸
　　35.自転車の一家列なす麦の秋
　　36.菖蒲湯の香りの残る白き肌　
　　37.菖蒲湯を探し求めて隣町
　　42.新緑やはつらつ通う趣味の会
　　45.背伸びして初孫のため菖蒲葺く
　　50.手作りの柏餅提げ孫訪ぬ
　　53.寝坊して電車と競う薄暑かな
　　55.ハイキング昼餉の味増す初夏の風
　　57.八十の蒼き八掛風薫る
　　59.花水木この坂の上に異人館
　　60.花水木白きをまとひ赤を呼び
　　61.花水木空の余白にともす赤
　　64.秀吉の千畳の間にゐて春惜しむ
　　66.美容院に番付表や五月場所
　　67.藤の花垂れて小流れ音澄めり
　　68.復興の槌音聞くや天道虫
　　70.別格寺より鶯の谷渡り　
　　71.歩危峡の架かる千本五月鯉
　　73.街薄暑江戸の名残りを辿りたり
　　75.マンションの部屋に飾るや鯉のぼり
　　76.みちのくや茂吉生家の春夕焼
　　77.武者人形今宵は合戦馳せ参じ
　　78.紫のシャワーよろしく藤の浪
　　80.目に若葉森林公園酸素濃し
　　83.予後の身をいとほしみをり水中花

評点につきまして間違いがありましたら、お早めにお申し出ください。

選者（敬称略）

麦 秋　そよかぜ　TOTORO　山椒の実　泥 舟　Tiger6　しんい　俊 雪　しょうく　苦 瓜　panapana　利 明　方 舟　さんせん　夢追人　secchan　昇 峰