【青蘆】
青蘆に夕波かくれゆきにけり　　　　　　松藤夏山
青葭のそよぎて禽は水に入りぬ　　　　　水原秋桜子
青蘆の触れ合ふ音の蘆出でず　　　　　　宮坂静生
大阪の煤によごれて芦茂る　　　　　　　富安風生
青芦原をんなの一生透きとほる　　　　　橋本多佳子
乗りすてし舟青蘆が抱きをり　　　　　　能村登四郎
青芦や時刻表なき渡し舟　　　　　　　　飯島正人
片手漕ぎして青蘆を薙ぐ風の中　　　　　田中水桜
青芦や淡海を過ぐる通り雨　　　　　　　大久保白村
青葦や湖に沈める古き径　　　　　　　　中 拓夫
青葦や落暉の方へ潮迅し　　　　　　　　兒玉南草
青葦原日の光濾し風を漉し　　　　　　　津田清子

明日の兼題は、「孑孑（ぼうふら）」です。