【蜩】
書に倦むや蜩鳴いて飯遅し 　　　　　　正岡子規
ひぐらしの啼きはじめしは父の山 　　　石 寒太
かなかなやどの家も父のゐる夕餉 　　　鈴木栄子
かなかなや廃校跡に朝礼台　　　　　　 高橋悦男
急流にひぐらしのこゑ乗りゆかず 　　　鷹羽狩行
いつまでもとほしとほしと蜩は 　　　　矢島渚男
朝蜩ふつとみな熄む一つ鳴く 　　　　　川崎展宏
かな～と鳴きまた人を悲します 　　　　倉田紘文
ひぐらしをきく水底にゐるごとく 　　　木内怜子
たちまちに蜩の声揃ふなり 　　　　　　中村汀女
ひぐらしのこゑのつまづく午後三時 　　飯田蛇笏
ひぐらしや熊野へしづむ山幾重 　　　　水原秋桜子

明日の兼題は、「新酒」です。