8月後半のサークル句会の選句結果です。今回の一席は、しんいさんの「水の秋」句、二席は、panapanaさんの「蚯蚓鳴く」句、三席は、昇峰の「新酒」句でした。一席の「水の秋」句は、透明で冷たい谷川の流れを美しく捉えた女性らしい佳句です。「蚯蚓鳴く」句は、固定名詞を使わずとも格調高い佳句を作ることができる力量のあることを証明しました。佳い句を読ませていただきありがとうございました。まだ暑い日が続きますが、次回も元気なご投句をお待ち申し上げます。

一席　７点句（◎◎〇〇〇〇〇）
　　25.渓谷の底石透けて水の秋　　　　　　　　　しんい
二席　７点句（◎〇〇〇〇〇〇）
　　76.蚯蚓鳴く島に残りし能舞台　　　　　　　　panapana
三席　５点句（◎◎〇〇〇）
　　40.新酒古酒李白牧水山頭火　　　　　　　　　昇 峰
５点句（◎〇〇〇〇）
　　32.コスモスや幸福駅の古切符　　　　　　　　麦 秋
４点句（◎◎〇〇）
　　39.下京は路地の奥まで地蔵盆　　　　　　　　山椒の実
３点句（◎〇〇）
　　02.朝顔に試歩の一歩を休めをり　　　　　　　さんせん
　　06.稲の香に包まれをりし保育園　　　　　　　麦 秋
　　23.繰り言は後に残さず花木槿　　　　　　　　雪 子
　　29.高原の風に遊びし赤とんぼ　　　　　　　　そよかぜ
　　38.しなやかに時にしたたか生身魂　　　　　　夢追人
　　70.星走る賢治の里へ寝台車　　　　　　　　　しんい
　　　（〇〇〇）
　　09.打水の格子戸ぬらす京町家　　　　　　　　さんせん
　　22.草の実や縄文土器に籾の痕　　　　　　　　昇 峰
　　59.適当に聞えぬふりの生身魂　　　　　　　　TOTORO
　　62.萩分けて階上る白毫寺　　　　　　　　　　利 明
　　65.人影の疎らな寺の白き萩　　　　　　　　　secchan
　　73.みくまりの水の匂へる稲の花　　　　　　　苦 瓜
２点句（◎〇）
　　05.いたずらにピアノ弾く子等秋暑し　　　　　夢追人
　　10.裏木戸を開け途切れるや虫時雨　　　　　　泥 舟
　　15.かなかなや北山杉の磨かるる　　　　　　　山椒の実
　　61.包(パオ)出づる大草原や星月夜　　　　　　利 明
　　　（〇〇）
　　14.風匂ふ水車の音や稲の花　　　　　　　　　panapana
　　20.京の路地子らが数珠繰る地蔵盆　　　　　　secchan
　　31.コスモスの丘に園児の声響く　　　　　　　secchan
　　35.古民家や新蕎麦供す落語会　　　　　　　　secchan
　　42.新涼の川風かおる屋形船　　　　　　　　　昇 峰
　　52.千鳥ヶ淵墓苑静寂白木槿　　　　　　　　　しょうく
　　63.蜩やつましき夕餉の客となり　　　　　　　雪 子
　　67.筆太の壁の品書き初さんま　　　　　　　　しんい
１点句（〇）
　　11.駅までの通ひなれたる虫の闇　　　　　　　方 舟
　　16.川風の涼し四万十道の駅　　　　　　　　　そよかぜ
　　24.訓練の笛の響きや震災忌　　　　　　　　　panapana
　　27.月明に呑み込まれいて街静か　　　　　　　雪 子
　　34.言葉少し荒っぽくなる残暑かな　　　　　　しょうく
　　41.新蕎麦や引戸の指に力こめ　　　　　　　　Tiger 6
　　48.千枚田海に傾るる野分あと　　　　　　　　利 明
　　54.九十九道滝の見えたり隠れたり　　　　　　そよかぜ
　　55.妻入りの北国街道木槿咲く　　　　　　　　山椒の実
　　56.露草や飛騨の川瀬に吹きし風　　　　　　　麦 秋
　　57.露避けてくの字くの字の朝散歩　　　　　　Tiger 6
　　64.膝までを露に濡らして峠越ゆ　　　　　　　方 舟
　　68.故郷の梲の街や盆踊　　　　　　　　　　　苦 瓜
　　72.盆客や体内時計故障中　　　　　　　　　　TOTORO
　　74.満たしつつ花降り止みぬ百日紅　　　　　　苦 瓜
　　79.紫の大地のうねるラベンダー　　　　　　　方 舟
　　83.夕さりの音色ととのふ虫時雨　　　　　　　TOTORO
　　85.寄せ植えの秋の七草講習会　　　　　　　　夢追人
　　87.雷神の在して出づる雲の峰　　　　　　　　方 舟
　　88.りんだうや赤土えぐる雨の跡　　　　　　　TOTORO
無点句
　　01.赤ちゃんの桃のやうなるお尻かな
　　03.溢れ出る汗と涙が物語る
　　04.磯波や人もまばらな処暑の海
　　07.稲の花今年も垂れて胸を撫で
　　08.ヴェネチアの街に迷ふや秋うらら
　　12.置き去りの自転車捉へ藪枯らし
　　13.お浚いの三味のね聞こゆ木槿垣
　　17.川辺吹くコスモス乱れ撮りがたし
　　18.利酒や全国新酒鑑評会
　　19.帰省子の寝て大胆な鼾かな
　　21.桐一葉流れる時に逆らえず
　　26.敬老日甘えてばかりもゐられまい
　　28.鯉跳ねて空には青く秋の色
　　30.黄落や灯欲しがる家の窓
　　33.子燕に口より大き餌与ふ
　　36.竿撓む銀鱗躍る雲の峰
　　37.地蔵会や菓子盆廻す子から子へ
　　43.新涼の夜を徹してリオ五輪
　　44.新涼や朝の宿下駄音響く
　　45.数珠玉や祈る心を深めけり
　　46.切々と長き便りや虫の秋
　　47.蝉落ちて願ふがごとく空を抱く
　　49.卒塔婆に黙して語る震災忌
　　50.空仰ぐ天文フアン流れ星
　　51.旅立ちの歌口ずさむ秋うらら
　　53.突かれて死力で空へ秋の蝉
　　58.釣り天井のごとく黒雲野分くる
　　60.流れゆく大河と出会ひ薄原　
　　66.昼の酔ひジョーク肴に暑気払ひ
　　69.古地図を広げ古道や夜長し
　　71.本打の般若の面や夜半の秋
　　75.蓑虫のゆうらりゆらり夕日中
　　77.虫の音や移る季節に浸りつつ
　　78.胸躍るカナダへ遊ぶ夏休み
　　80.山寺の石段は急赤のまま
　　81.山の日や記念式典上高地
　　82.有機物無機物となり夏果てる
　　84.腰痛よ今年も目覚め残暑かな
　　86.齢とは思へぬ仕草蛍狩り
　　89.連窓を開けて茶会の秋暑かな
　　90.露天風呂虫の音すだく旅の宿

評点につきまして間違いがありましたら、お早めにお申し出ください。

選者（敬称略）

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