明日は9月1日、秋の到来です。小雨降る京の街角。

　　巷に雨の降るごとく
　　わが心にも涙降る

　ふと浮かんだヴェルレーヌの詩。漢詩が主の時代に西洋の詩を翻訳した『海潮音』。

　ヴェルレーヌといえば、やはり秋の詩。上田敏が『落葉』と訳したのが白眉でしょうか。

　　秋の日の　ヴィオロンの溜息の身に沁みて
　　ひたぶるに　うら哀し

　英文学者中野好夫は、「文学への入り口はセンチメント」と喝破しました。ヴェルレーヌやブッセの詩を思い浮かべ、京の秋の街角を逍遥するのも一興。

　行く秋を少しでも引きとめてみたい。哲学の道を銀閣へと辿りながら、束の間センチメンタルになりました。