9月後半のサークル句会の選句結果です。今回の一席は、麦秋さんの「子規忌」句、二席は、さんせんさんの「良夜」句、三席は、山椒の実さんの「りんどう」句でした。忌日俳句は、忌日を知らない人が読んでもわかるように季重ねが認められています。「瓢」で子規忌が秋であることが判ります。台風と秋雨前線の季重ねはありがたくない天候ですね。次回も元気なご投句をお待ち申し上げます。

一席　７点句（〇〇〇〇〇〇〇）
　　39.子規の忌の青さ残れる瓢かな　　　　　　　　麦 秋　
二席　６点句（◎◎◎〇〇〇）
　　62.病室の窓開け放つ良夜かな　　　　　　　　　さんせん
三席　６点句（◎〇〇〇〇〇）
　　79.りんどうを壺いっぱいに峠茶屋　　　　　　　山椒の実
５点句（◎〇〇〇〇）
　　19.観世音十一面にある秋思　　　　　　　　　　山椒の実
　　42.澄む水を掬へば失せる空の色　　　　　　　　昇 峰
　　　（〇〇〇〇〇）
　　21.空海の築きし堤曼珠沙華　　　　　　　　　　苦 瓜
　　61.避難所の眠れぬ一夜虫の声　　　　　　　　　panapana
４点句（◎◎〇〇）
　　33.里神楽果てて人散る虫の闇　　　　　　　　　方 舟
３点句（◎◎〇）
　　64.フルートの音色は秋の水のいろ　　　　　　　夢追人
　　　（◎〇〇）
　　26.敬老日すなおに老を認めけり　　　　　　　　そよかぜ
　　66.穂すすきや流れの細き飛鳥川　　　　　　　　さんせん
　　76.山の端は明るき空や月昇る　　　　　　　　　雪 子
　　　（〇〇〇）
　　04.化野の石仏染むる夕紅葉　　　　　　　　　　方 舟
　　65.放牧の牛は牛舎へ秋の暮　　　　　　　　　　泥 舟
２点句（）
　　06.粗壁に影を映して柿を干す　　　　　　　　　方 舟
　　68.曼珠沙華怒りの色に燃え上がる　　　　　　　しょうく
　　　（〇〇）
　　07.石槌の山懐や虫の宿　　　　　　　　　　　　苦 瓜
　　09.色鳥と語り合ふてや母白寿　　　　　　　　　麦 秋
　　12.ＳＬの風に騒めく稲穂波　　　　　　　　　　さんせん
　　14.頑なな風をほぐせし虫の声　　　　　　　　　昇 峰
　　22.九月逝く近江の空のちぎれ雲　　　　　　　　山椒の実
　　30.コスモスを添へて雨傘返さるる　　　　　　　雪 子
　　32.さざ波の月を崩して油壷　　　　　　　　　　夢追人
　　55.廃校の塀の内外秋薊　　　　　　　　　　　　panapana
　　57.初潮に浮桟橋の軋む音　　　　　　　　　　　苦 瓜
　　69.水底に影置く魚や水澄めり　　　　　　　　　昇 峰
１点句（◎）
　　34.里山の梢に高き鵙の贄　　　　　　　　　　　利 明
　　　（〇）
　　01.茜雲磯笛ひびく秋の汐　　　　　　　　　　　panapana
　　11.乳母車母そのまゝに梨を捥ぐ　　　　　　　　panapana
　　15.価値観の親子でずれる鵙の声　　　　　　　　そよかぜ
　　25.渓流の光る小石や水澄めり　　　　　　　　　secchan
　　43.擦り切るる要の紐や秋扇　　　　　　　　　　利 明
　　48.天焦がす目黒の秋刀魚庶民の日　　　　　　　俊 雪
　　50.道標の文字も薄れて秋の雨　　　　　　　　　しょうく
　　54.脳トレに折り紙をして秋灯す　　　　　　　　そよかぜ
　　72.虫すだく蓑虫庵のわらぢ塚　　　　　　　　　さんせん
　　80.吾余生終点何処法師蝉　　　　　　　　　　　しょうく
無点句
　　02.秋薊鉄道連隊鉄路跡
　　03.朝霧や扁額翳む南大門
　　05.編み物の手元にぶるや今日の月
　　08.伊吹山咲き残りたる秋薊
　　10.色鳥の好きなる菓子を色皿に
　　13.大皿に剥かれし梨のみずみずし
　　16.かなかなの鳴き尽したり隠れ里
　　17.皮剥いて安堵の空気傷は梨
　　18.顔洗う水に秋冷知りし朝
　　20.霧ごめの曽爾高原の草の丈
　　23.草の花一輪揺れる滑走路
　　24.倶楽部員の絆深まる秋刀魚会
　　27.高層の学舎の陰に萩匂ふ
　　28.香木に信長の名や秋日和
　　29.御朱印帳古刹十ケ寺秋彼岸
　　31.木の実拾うて少年に還りけり
　　35.さはやかに群れを離れて錦鯉
　　36.爽やかに非の打ちどころ鳴けにけり
　　37.爽やかや遠き山並み雨のあと
　　38.山麓の芒の穂波海の如
　　40.賤ヶ岳かりがね渡る朝ぼらけ
　　41.睡魔きて虫の音だんだん遠ざかる
　　44.すれ違う自転車どうし萩こぼす
　　45.清秋や山波を抜く槍ヶ岳
　　46.千年の古刹蟲蟲虫時雨
　　47.千疋屋の色鮮やかなマスカット
　　49.展望台頬撫でてゆく秋の風
　　51.鳥威し隣の畑は派手好み
　　52.錦鯉蓮の間合を波立たす
　　53.鈍色の南部風鈴澄みし音
　　56.蓮の実を飛ばす唐招提寺かな　
　　58.初紅葉トロッコ列車の視野広く
　　59.はろばろと岬おとなふ秋日和
　　60.日時計は朝の影差し小鳥来る
　　63.葡萄の葉造花生き生き珈琲店
　　67.まだらなす穂田を眼下に札所道
　　70.蓑虫の住家のごとき白川郷
　　71.蓑虫を突いてみても頭出ず
　　73.虫すだく我が行くところ座すところ
　　74.虫の音にそっと近づき耳を当て
　　75.名月の心づくしか見え隠れ
　　77.夕日受け少し派手目な鳥威し
　　78.宵闇や橋のたもとに影法師

評点につきまして間違いがありましたら、お早めにお申し出ください。

選者（敬称略）

泥 舟　利 明　麦 秋　方 舟　そよかぜ　雪 子　俊 雪　苦 瓜　しょうく　夢追人　secchan　panapana　山椒の実　Tiger６　さんせん　昇 峰