10月前半のサークル句会の選句結果です。今回の一席は、さんせんさんの「露草」句、二席は、山椒の実さんの「秋麗」句、三席は、方舟さんの「虫」句でした。一席は、中七下五のフレーズに類型がありそうですが、季語の斡旋だ良かった結果でしょう。二席は、新しい句材ですね。なお、今回から新しく、さんせんさん、しょうくさん、昇峰の選句はすべて特選扱いとして点盛しています。次回もよろしくお願い申し上げます。

一席　9点句（◎◎◎◎〇〇〇〇〇）
　　46.露草や明日香に古き石仏　　　　　　　　　　さんせん
二席　6点句（◎◎◎◎〇〇）
　　90.ロボットの差し出す神籤秋うらら　　　　　　山椒の実
三席　5点句（◎◎◎◎〇）
　　78.虫の闇旧家に残る外厠　　　　　　　　　　　方 舟
5点句（◎◎〇〇〇）　　　
　　53.野菊挿す台座傾く地蔵尊　　　　　　　　　　TOTORO
　　　（◎〇〇〇〇）
　　45.艶やかに粒の揃ひて丹波栗　　　　　　　　　山椒の実
4点句（〇〇〇〇）
　　81.薬師寺の伽藍を分かつ萩の風　　　　　　　　さんせん
3点句（◎〇〇）
　　04.秋澄みし立山凜と深呼吸　　　　　　　　　　panapana
　　07.畦道を隠す穂波や豊の秋　　　　　　　　　　さんせん
　　17.烏瓜手繰りて届かざる思ひ　　　　　　　　　昇 峰
　　38.爽風や海より蒼き利尻富士　　　　　　　　　麦 秋
　　54.軒先を囲む民家の柿簾　　　　　　　　　　　panapana
　　61.繙くは道長日記後の月　　　　　　　　　　　麦 秋
　　65.故里のぬくみ掬ふ掌今年米　　　　　　　　　方 舟
　　67.北海の霧に消えゆく観光船　　　　　　　　　夢追人
　　　（〇〇〇）
　　23.古書店の硝子戸越しの夜寒かな　　　　　　　泥 舟
　　43.団欒や皿をはみ出す初秋刀魚　　　　　　　　TOTORO
　　57.初紅葉三千院の庭深く　　　　　　　　　　　方 舟
2点句（◎◎）
　　35.史話秘めし峠十月桜咲く　　　　　　　　　　しょうく
　　　（◎〇）
　　11.色鳥と語り合ふてや母白寿　　　　　　　　　麦 秋
　　51.友逝きて友の化身か秋の蝶　　　　　　　　　そよかぜ
　　68.ほつこりと炊けて供へるむかご飯　　　　　　TOTORO
　　　（〇〇）
　　08.雨曇り雨雨曇り九月尽　　　　　　　　　　　しょうく
　　16.かめバスや明日香の里の木守柿　　　　　　　さんせん
　　36.すり抜ける人の香りや秋の暮れ　　　　　　　panapana
　　47.手づくりの小さき神輿や秋高し　　　　　　　そよかぜ
　　72.磨かれし床に焔や照紅葉　　　　　　　　　　利 明
　　80.紅葉濃く関守石に影を置き　　　　　　　　　方 舟
1点句（◎）
　　10.色褪する男綱目綱や柿日和　　　　　　　　　利 明
　　19.凶とあるみくじを引くやそぞろ寒　　　　　　泥 舟
　　52.躙口辞して八橋十三夜　　　　　　　　　　　苦 瓜
　　58.腹の内吐露して肚は秋日和　　　　　　　　　千畳敷太郎
　　66.頬杖をつけば来し方秋思う　　　　　　　　　そよかぜ
　　84.柚子釜や二合徳利飲みあけて　　　　　　　　しんい
　　85.楊貴妃の湯上りうなじ酔芙蓉　　　　　　　　千畳敷太郎
　　　（〇）
　　09.雨しとど案山子べたりと肩落とす　　　　　　しょうく
　　12.老松の粗き木肌やいわし雲　　　　　　　　　しんい
　　13.老い若き肩揃えしや秋祭り　　　　　　　　　Tiger 6
　　15.風急に標高千の芒原　　　　　　　　　　　　TOTORO
　　18.観音さま胸にひとすじ秋の風　　　　　　　　山椒の実
　　21.御詠歌の揃ひし鈴の音秋深し　　　　　　　　山椒の実
　　22.試みに棚田いちまい鎌はじめ　　　　　　　　しんい
　　27.再稼働揺れる原発芋の露　　　　　　　　　　夢追人
　　30.秋郊や小さき人影夕日中　　　　　　　　　　雪 子
　　32.秋燈やかぼそき指の半跏思惟　　　　　　　　利 明
　　33.白壁の町は茜に秋夕焼け　　　　　　　　　　そよかぜ
　　50.倒木に張り付く苔や月夜茸　　　　　　　　　昇 峰
　　56.初恋の遥か彼方に林檎剥く　　　　　　　　　利 明
　　82.大和路の塔をはるかに柿の秋　　　　　　　　昇 峰
　　83.夕映えに蜻蛉数多や無人駅　　　　　　　　　泥 舟
　　89.老犬のくつろぐ庭に小鳥来る　　　 　　　 　方 舟
無点句
　　01.赤い羽根帽子に飾り一万歩
　　02.赤映に英気を貰う秋の暮れ
　　03.秋あわれこころに着せる潮の色
　　05.秋の虹ピンクの壁の幼稚園
　　06.秋一人出たとこ勝負の味な旅
　　14.筧より手水の音や夜寒き
　　20.敬老の日軍艦マーチのパチンコ店
　　24.子の寝顔まっこと平和や十三夜
　　25.コレクションの切手寄付する秋の夜
　　26.コンバイン入らぬ稲を試し刈る
　　28.山頂やおむすび三個今年米
　　29.秋刀魚食ふ口角泡の会談議
　　31.秋爽や東に筑波西に富士
　　34.白川郷合掌造り紅葉かな
　　37.性格のより現るる障子貼り
　　39.杣人の手荒くたぐる烏瓜
　　40.たかだかと風呂沸くチャイム萩の花
　　41.太夫座す茶会秋日の明るうす
　　42.段畑にいろどり添へて曼珠沙華
　　44.爪疵は知られざるまま栗御飯
　　48.寺庭のねねに合う花実むらさき
　　49.灯台の壁の手ざはり柿赤し
　　55.恥じらいの顔の赤見と紅葉かな
　　59.被災地の小中合せ運動会
　　60.一叢のすすき残して暮れていく
　　62.冷やかに岩崎邸のエンタシス
　　63.踏切の警報音や秋時雨
　　64.振られども倒れども立つ芒かな
　　69.ほら貝の響く山道後の月
　　70.孫見つけ歓声上げる秋祭り
　　71.マラソンをトップでゴール鰯雲
　　73.未熟児に寄沿ひ走る運動会
　　74.みなそこに瑠璃の石あり鳥渡る
　　75.身に入むや夕風に乗る鐘かすか
　　76.稔り田と刈田隣りて峡の村
　　77.御仏の頬に切り疵秋思かな
　　79.濛濛と秋刀魚の煙腸に
　　86.甦れ絶滅危惧の深山茜
　　87.夜寒し発車のベルを聞きながら
　　88.霊屋へ急な石段秋袷

評点につきまして間違いがありましたら、お早めにお申し出ください。


選者（敬称略）

泥 舟　そよかぜ　麦 秋　山椒の実　雪 子　しんい　千畳敷太郎　Tiger6　TOTORO　利 明　俊 雪　panapana　苦 瓜　方 舟　夢追人　しょうく　さんせん　昇 峰