【撫子】
かさねとは八重撫子の名成るべし 　　　河合曾良
岬に咲く撫子は風強ひられて 　　　　　秋元不死男
吹かれゐる浜撫子にあそび海女 　　　　木村蕪城
撫子の節々にさす夕日かな　　　　　　 成 美
撫子や狂へば老も聖童女 　　　　　　　福田蓼汀
撫子やぬれて小さき墓の膝 　　　　　　中村草田男
撫子や波出直してやや強く 　　　　　　香西照雄
撫子も草の庵も富士のもの 　　　　　　高浜虚子
撫子の花野浄土となりにけり 　　　　　沢木欣一
大阿蘇の撫子なべて傾ぎ咲く 　　　　　岡井省二
撫子や島に一つの放牧場 　　　　　　　高橋悦男
海霧うすれきて撫子の吹かれどほし　　 清崎敏郎

明日の兼題は、「秋の水」です。