【雪女郎】
みちのくの雪深ければ雪女郎 　　　　　　山口青邨
雪女郎おそろし父の恋恐ろし 　　　　　　中村草田男
かまくらを覗きゆきしと雪女 　　　　　　後藤比奈夫
なみおとを戀歌ときき雪女郎 　　　　　　加藤三七子
雪をんなわれが笑へば笑ひけり 　　　　　田中ただし
岬へのみちはいつぽん雪女郎 　　　　　　草間時彦
雪をんな黙つてゐれば歩が揃ふ 　　　　　山田みづえ
すいときて眉のなかりし雪女郎 　　　　　森 澄雄
生臭き声捨てかねて雪女郎 　　　　　　　辺見じゅん
青邨も青畝も亡くて雪女郎 　　　　　　　坂内佳禰
雪女郎化粧のあとの雪払ふ 　　　　　　　清水緑子
雪をんな来るか会津の絵蝋燭 　　　　　　吉田順子
雪女山泣くときは山を抱く 　　　　　　　久保伸数
心の臓のみのくれなゐ雪女郎　　　　　　 伊藤伊那男

明日の兼題は、「冬の蠅」です。