３月前半のサークル句会の選句結果です。今回の一席は、panapanaさんの「卒業」句の8点句でした。二席は、TOTOROさんの「草萌ゆる」句、三席は、山椒の実さんの「冴返る」句です。一席は、卒業にある喜びと哀愁、二席と三席は古い名刹の確かな写生が生きています。他にもたくさんの佳い句を鑑賞させていただきました。来回もまたよろしくお願い申し上げます。

一席　8点句（◎◎◎◎○○○○）
　　52.卒業式島に残る子離るる子　　　　　　　　　　panapana
二席　7点句（◎○○○○○○）
　　76.不揃ひの寺の飛び石草萌ゆる　　　　　　　　　TOTORO
三席　5点句（◎◎○○○）　
　　14.茅葺の朽ちし山門冴え返る　　　　　　　　　　山椒の実
5点句（◎○○○○）
　　90.来年のことは語らず雛納む　　　　　　　　　　方 舟
　　　（○○○○○）
　　33.下町の匂ひが好きで浅蜊飯　　　　　　　　　　昇 峰
4点句（◎◎○○）
　　25.けん玉の上手な子ゐて葱の花　　　　　　　　　昇 峰
　　42.水郷の風と光と猫柳　　　　　　　　　　　　　panapana
　　　（◎○○○）
　　72.独り居の仕舞たくない春炬燵　　　　　　　　　panapana
　　　（○○○○）
　　34.下萌や板つぎはぎの農具小屋　　　　　　　　　昇 峰
3点句（◎◎○）
　　48.浅春や空席目立つ離島便　　　　　　　　　　　利 明
　　63.塗椀に浮かぶ花菜のうすみどり　　　　　　　　さんせん
　　　（◎○○）
　　20.啓蟄や衣桁に架かる訪問着　　　　　　　　　　泥 舟
　　　（○○○）
　　36.春寒や芭蕉生家の通し土間　　　　　　　　　　さんせん
　　54.田も畑も息吹き返す雪解かな　　　　　　　　　泥 舟
2点句（◎◎）
　　38.城址てふ碑一つ柳の芽　　　　　　　　　　　　夢追人
　　65.残されしものに風音鳥雲に　　　　　　　　　　昇 峰
　　　（◎○）　
　　01.相席のすぐうちとける浅蜊飯　　　　　　　　　昇 峰
　　07.宴席の喧騒遠く朧月　　　　　　　　　　　　　ワシモ　
　　16.癌封じ寺の帰りや土筆摘む　　　　　　　　　　苦 瓜
　　26.航跡の水脈ゆつたりと春の川　　　　　　　　　TOTORO
　　75.ひらがなのようにひらひら紋黄蝶　　　　　　　夢追人
　　85.芽柳の早や川風を捉へけり　　　　　　　　　　利 明
　　88.逝きし師の温顔に似る春の雲　　　　　　　　　方 舟
　　　（○○）
　　03.斑鳩の空は薄雲土筆摘む　　　　　　　　　　　苦 瓜
　　05.鵜の鳥の片足立ちの水ぬるむ　　　　　　　　　しょうく
　　08.幼な子の夢に文添へ雛納め　　　　　　　　　　麦 秋
　　12.河川敷誰に気兼ねやつくしんぼ　　　　　　　　俊 雪
　　55.足るを知る暮しにけふの春の雨　　　　　　　　TOTORO
　　56.茶室への露地に一輪落ち椿　　　　　　　　　　secchan
1点句（◎）
　　06.遠景に一舟の水尾花ミモザ　　　　　　　　　　麦 秋　　
　　15.枯れ色の野原春呼ぶ土竜塚　　　　　　　　　　しょうく
　　44.鈴なりの合格祈願絵馬揺れる　　　　　　　　　secchan
　　59.鳥帰り人影もなき奥琵琶湖　　　　　　　　　　secchan
　　78.枕辺にランドセル置き入学児　　　　　　　　　夢追人
　　81.水切つて弾む小石や水ぬるむ　　　　　　　　　方 舟
　　　（○）
　　02.綽名出て本名出でず山笑う　　　　　　　　　　しょうく
　　13.紙雛やグループホームの遊戯室　　　　　　　　さんせん
　　17.喜寿までは現役張ると海女の笛　　　　　　　　利 明
　　24.啓蟄や龍馬の書状新発見　　　　　　　　　　　夢追人
　　37.春泥や向こうからくる恋敵　　　　　　　　　　ワシモ　　　
　　61.菜の花や大河の岸を狭くし　　　　　　　　　　さんせん
　　66.廃校の門扉軋むや竹の秋　　　　　　　　　　　泥 舟
　　77.ポケットは夢いっぱいの卒業子　　　　　　　　secchan
無点句
　　04.うつ伏せの土筆の向かふに富士の嶺
　　09.海光に輝きまして吊し雛
　　10.海光の崖に華やぐ黄水仙
　　11.陽炎か跳び出す美女と駅の前
　　18.京の夢大坂の夢や花筏
　　19.魚道跳ぶ稚魚の影濃く水ぬるむ
　　21.啓蟄や菜園の土盛上がり
　　22.啓蟄や児童の試す逆上がり
　　23.啓蟄や土浮かせをり陽の光
　　27.古今雛五人囃子の賑わへり
　　28.サウジより大挙襲来鳥曇り
　　29.佐保川の道のほとりや青き踏む
　　30.散歩道すとんと椿道汚す
　　31.山門の偈頌に知足や入彼岸
　　32.新成人巷に生えし土筆哉
　　35下萌や畑の土の黒々と
　　39.心行の行く先々を遍路笠
　　40.新作の裃雛や芸大生
　　41.沈丁や足取り軽き散歩道
　　43.水郷や舳先に座る雛に会ひ
　　45.清貧の祝い一膳紙雛
　　46.石仏も目に入れたきや紙の雛
　　47.雪月花の軸の字凛々し雛の間
　　49.剪定は二人がかりの長梯子
　　50.蒼天や庭の仕事と囀りと
　　51.卒業式七時予約の美容院
　　53.立て掛けし江戸期名残りの紙雛
　　57.霾るや古都千年の摩崖仏
　　58.踏青や遊び心に鞍馬寺
　　60.苗札を読みて知りたる双葉の名
　　62.楠公の首塚の寺青き踏む
　　64.葱坊主爺の頭を笑ひけり
　　67.這うやうに蓬萌えいづ天満宮
　　68.腹這いしボート塗り替え水ぬるむ
　　69.玻璃の外展くや春の瀬戸の海
　　70.春の雪頭に白き日本橋
　　71.春日傘浅草寺にも吸い込まれ
　　73.火の山の斜面たつぷり蕗の薹
　　74.百の人百のポーズで梅を撮り
　　79.孫がはや社会人とか山笑う
　　80.街角の信号は赤柳の芽
　　82.店毎に一興添へし吊し雛
　　83.目立たねど我ここにあり葱坊主　
　　84.芽柳の糸の先まで柳色
　　86.門跡寺の通り老舗の桜餅
　　87.弥生来る十一日の涙連れ
　　89.湯の宿の漣聞こゆ人麿忌

評点につきまして間違いがありましたら、お早めにお申し出ください。
選者（敬称略）

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