【麗か】
うららかや空より青き流れあり　　　　　　 阿部みどり女
うららかや岩場高きに忘れ潮 　　　　　　　鷹羽狩行
鯉のくち後ずさりゆくうららかに 　　　　　小宅容義
仏唇に朱の残りをりうららなり 　　　　　　林　翔
病む人へ麗日待ちて文を書く 　　　　　　　古賀まり子
うららかや猫にものいふ妻のこゑ 　　　　　日野草城
石三つ寄せてうららや野の竈 　　　　　　　福永耕二
うららかやまだある納屋の背負籠 　　　　　倉上郁衣
うららかやうすよごれして足の裏 　　　　　日野草城
吊革にぶらさがりてもうららかや 　　　　　山口青邨
うららかや一本指のピアノ音 　　　　　　　足立悦子
麗かや松を離るゝ鳶の笛 　　　　　　　　　川端茅舎

明日の兼題は、「辛夷」です。