【苔の花】
水打てば沈むが如し苔の花 　　　　　高浜虚子
洛北の暮色をたたへ苔の花　　　　　 長谷川双魚
膝ついてより苔の花つまびらか 　　　田畑美穂女
金閣にほろびのひかり苔の花 　　　　遠藤若狭男
仏ともただの石とも苔の花 　　　　　森本林生
祇王寺は竹の奥なる苔の花 　　　　　武原はん女
御廟所の葵の紋に苔の花 　　　　　　和田郁子
杖を持つものに親しき苔の花 　　　　鳥井信行
鞘堂の鞘の日数に苔の花 　　　　　　深谷雄大
苔の花踏むまじく人恋ひ居たり 　　　中村汀女
苔の花踏むみささぎの松鳴るに 　　　高井北杜
狛犬の台座もろとも苔の花 　　　　　小野寺順子

明日の兼題は、「鴉の子」です。