【石榴】
露人ワシコフ叫びて石榴打ち落す 　　　　西東三鬼
実柘榴や父の宿りし寺の塀 　　　　　　　原 裕
石榴赤しふるさとびとの心はも 　　　　　高浜虚子
柘榴の粒幾百食はば寂しさ消ゆ 　　　　　橋本多佳子
柘榴火のごとく割れゆく過ぎし日も 　　　加藤楸邨
恵林寺の前火のごとき石榴売る 　　　　　宮田正和
柘榴紅し都へつづく空を見て　　　　　　 柿本多映
実柘榴や因幡美作国境 　　　　　　　　　和田しずえ
手より手へ淋しさわたす石榴の実 　　　　伊藤敬子
美しき石榴に月日ありにけり 　　　　　　瀧井孝作
ひやびやと日のさしてゐる石榴かな　　　 安住 敦
柘榴みて髪にするどきピンをさす　　　　 野澤節子

明日は「今週の俳句」です。