【赤蜻蛉】
から松は淋しき木なり赤蜻蛉 　　　　　河東碧梧桐
甲斐駒の雲の高さに赤蜻蛉 　　　　　　堀口星眠
肩に来て人懐かしや赤蜻蛉 　　　　　　夏目漱石
赤とんぼ人をえらびて妻の膝 　　　　　山口青邨
赤蜻蛉筑波に雲もなかりけり 　　　　　正岡子規
赤蜻蛉翔び交ふ山の露天風呂 　　　　　土屋保夫
赤蜻蛉とまつているよ竿の先 　　　　　三木露風
赤蜻蛉ひたと伏せたる影の上 　　　　　今井つる女
湿原は雲湧くところ赤とんぼ 　　　　　吉原文音
手の届く高さに群れる赤とんぼ 　　　　吉田喜美子
小春日や石を噛みゐる赤蜻蛉　　　　　 村上鬼城
人ゐても人ゐなくても赤とんぼ　　　　 深見けん二

明日の兼題は、「水引の花」です。