症状が出た時は遅い可能性が高い!人体にある「沈黙の臓器」とは?
自覚症状がほとんどなく、自覚症状が現れた時にはもう手遅れになる、という臓器が人体には存在します。
肝臓などが該当しますが、これらの臓器は「沈黙の臓器」なんて呼ばれますよね。
ダメージを受けているサインをほとんど出さず、サインが出たときは手遅れ、ということから「沈黙の臓器」と呼ばれています。
このほかにすい臓や腎臓、胆嚢なんかも沈黙の臓器と呼ばれたりします。
本日は「沈黙の臓器」についてご紹介します。
沈黙の臓器とは?アルコールなどを処理する肝臓には要注意!

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冒頭でも触れていますが、肝臓は「沈黙の臓器」代表格。
ほとんどサインを発さず、ある日突然機能停止してしまうため、「沈黙の臓器」と呼ばれています。
肝臓は人間にとって大切な臓器で、特にお酒を飲む人なんかは、健康診断で肝臓の数値が気になったりしますよね。
肝臓は食べ物から摂取した栄養をため込んだり、必要なときにエネルギーとして身体に供給する「代謝」としての役割。
そして、アルコールや老廃物といった「有害物質」を分解し、無毒にする「解毒」という役割があります。
長年の不摂生、長期にわたる継続的な飲酒といった生活を続けていると、肝臓にダメージを与えてしまいます。
こうしたダメージに対しても肝臓はじっと耐え、なかなかサインを発してくれません。
また肝臓には痛みを感じる神経がないことから、相当深くダメージを受けてからやっと自覚症状が出るのです。
肝臓の機能が低下するとどうなる?
自覚症状がないまま、肝臓が弱っていくとどうなるのでしょうか?
まず糖や脂肪の代謝をスムーズに行えなくなります。
その結果、脂質異常や高血糖を招いて脂肪肝を引き起こします。
脂肪肝になるとまたさらに肝臓の機能が低下していく、という悪循環を生み出してしまうのです。
健康診断では「毎年こんなもんだから」と、肝機能のマーカーであるγ-GTPが51以上、ALTが31以上という「要注意」が出ているのに、放っておく人も。
長期間要注意状態を放置しておくと、手遅れになります。
肝機能に要注意が出ていて、最近だるい、食欲もイマイチない、風邪っぽい、という場合、重篤な病気かも知れません。
肝機能異常が増えている?
日本人間ドック学会が2015年にまとめた「2015年人間ドックの現況」によると、人間ドック受診者は316万人。
そのうち肝機能異常を指摘されたのは105万人にも上るそう。
全受信者の33パーセント超という驚くべき人数です。
2年連続で100万人を超え、男性は40パーセント以上の人が肝機能異常が見つかったそうです。
こうした肝機能異常を抱える人は年々増加しており、30年前と比較すると3倍にも上るそう。
一体なぜ肝機能異常の人が増えたのでしょうか?
原因のひとつが食の欧米化。
「国民栄養調査」によると、肥満率(BMI25以上)は年々上がって行っています。
特に男性は上昇しており、50歳以上の男性は大都市部で20パーセント以上の人が肥満であることがわかっています。
大都市部では20歳〜49歳までの人は肥満者率が減少していますが、それ以外のエリア、そして50歳以上は昔よりも肥満の人が多いのです。
働き盛りのビジネスマンは会食がつきもの。
普段から肝臓を酷使しがちです。
アルコールの過剰摂取、仕事のストレス、睡眠不足、脂っこいものの摂取、炭水化物の大量摂取、甘いもの、肉の食べ過ぎといった食生活は肝臓に徐々にダメージを与えてしまいます。
人間ドックでは肝機能異常が見つかった人に生活習慣、食習慣の指導を行っています。
たとえば週1日の休肝日や、食事はサラダ(野菜)から食べるといったものですね。
指導されたときは素直に習慣として取り入れていった方が良いでしょう。
二日酔いに効く! といったドリンクを飲んでも肝機能は充分に改善しません。
日頃から肝臓をいたわる気持ちが大切なのです。
痛みが出たらアウト?肝臓のほか、すい臓、腎臓、胆嚢、子宮、卵巣など沈黙の臓器に近いのは?

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このほかにも人体には沈黙の臓器と呼ばれる臓器が存在します。
腎臓やすい臓、卵巣なども沈黙の臓器と呼ばれています。
スローネットでもたびたびご紹介していますが、腎臓は非常に重要な臓器です。
腰よりも少し上、背中側に位置する臓器で、背骨を挟んで左右にひとつずつあるのが腎臓。
大人の握りこぶしくらいの大きさで、ホルモンを分泌したり、尿を作ったりする重要な臓器なのです。
腎臓でもっとも重要な働きは尿を作ることで、血液から老廃物をろ過して尿として体外に排出しています。
腎臓はフィルターのような役割で、腎臓を通過した血液はキレイな状態で、再び全身を回るのです。
また、尿の排出量も調整しています。
体内の水分量を一定に保つ働きがあるので、塩辛いものを食べ過ぎて水をごくごく飲んだりすると体内の水分量バランスが崩れてしまいます。
このあたりの食生活にも注意したいですね。
さらに「レニン」「エリスロポエチン」というホルモンを分泌したり、ビタミンDを活性化させる働きもあります。
腎臓もサインを発することなく悪くなりがちな臓器なので、ぜひいたわった生活を送りましょう。
ホルモンを分泌する内分泌機能と消化酵素である膵液を小腸に送り込む外分泌機能がある「膵臓」も沈黙の臓器。
膵炎、膵嚢胞、膵臓がんなどの病気が発生します。
膵炎は暴飲暴食、アルコールの過剰摂取、喫煙などの生活習慣などの原因が炎症を起こす病気。
重症なら死に至るケースもあり、こちらは嘔吐、腹痛といった自覚症状があるのが特徴。
膵嚢胞は膵臓にある液体が貯まっている袋状のもの。
悪性の場合は手術で切除する必要があります。
膵臓がんは厄介で症状が現れたときには手遅れの場合が多いのが特徴。
暴飲暴食、喫煙、糖尿病、遺伝などが原因になると考えられており、積極的な受診や検診を行わないと早期発見されにくいがんでもあります。
このほか卵巣も沈黙の臓器と呼ばれるなど、人体には意外と「サインを発しない」臓器があることがわかりますよね。
症状がないからこそ、初期発見のためには定期的な健診が重要!

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現役時代は会社で健康診断を受けなければならないケースが多かったでしょう。
年金生活をはじめるとなかなか定期的な受診に行きにくいもの。
しかし、痛みが出る前に定期的に健康診断を受診して、病気を早期発見したいですね。
健康診断は現在どこが悪いのか? を見つけるよりも、病気の早期発見・予防といった意味合いが強いですよね。
健康状態をチェックして、暮らしのなかでは見つかりにくい病気を早期発見し、治療を行う。
そのためには健康診断を定期的に受診する必要があるのです。
最低でも1年に1回は受診するようにしましょう。
ガンは特に早期発見が重要な病気です。
こうした健康診断で早期発見されるケースも少なくないそう。
しかし、健康診断では特定の臓器を詳しく見たり、検査したりはできません。
不安な場合はしっかりと人間ドックなどを予約してみるのが良いかも知れませんね。
また、不安がある場合は専門医がいる医療機関を受診するのも良いでしょう。
また、2008年からは40歳から74歳のすべての人を対象に生活習慣病を予防するための特定健康診査と特定保健指導の実施が義務づけられています。
血圧測定、尿検査、血糖検査、腹囲測定などが行われ、問題があった人には生活改善指導を行っています。
これらも併せて受けたいですよね。
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