【仮面高血圧】病院ではかったら正常、家で測ったら高血圧。どっちが正しいの?
血圧を日頃家で測定している方も多いかと思います。
家で測定すると正常の範囲内に収まっている血圧ですが、病院で測定すると高くなることってありませんか?
また、その反対の場合もありますよね。
これを「仮面高血圧」や「白衣性高血圧症」なんて呼んだりします。
本日は仮面高血圧・白衣性高血圧症についてご紹介します。
高血圧判定の基準数値は?高血圧のリスク・症状とは?

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血圧が高いと「高血圧」と言われます。
現在日本には2,000万人から3,000万人も高血圧患者がいるといわれ、生活習慣病のひとつに数えられています。
しかし、血圧は常に一定というわけではありません。
身体を動かす、寒さを感じるなどでカンタンに上下するのです。
一時的な血圧上昇、低下は高血圧・低血圧とはいいません。
高血圧は安静状態での血圧が正常値よりも高い状態のことをいいます。
脳卒中、認知症などのリスクも
高血圧になると、血管には負担がかかり続けます。
その結果、「血管病」のなかでも動脈硬化による心筋梗塞、脳梗塞などを突然引き起こしてしまいます。
通常は症状が出にくいため、放置されやすい病気なので日頃から血圧を把握しておくことが重要なのです。
また、認知症のなかでも脳血管性認知症のリスクが高まります。
脳血管性認知症は脳の血管が破れたり、詰まったりして脳に障害が起こり、発症する認知症のこと。
脳血管性認知症は脳卒中の発症に伴って段階的に発症・進行するのが特徴で、範囲の大きな脳卒中の場合、発作後すぐに認知症を発症することも。
また、小さな脳卒中を繰り返した結果認知症が進行するケースも少なくありません。
高血圧は脳卒中を発症しやすい状態なので、認知症リスクも高い状態といえるでしょう。
血圧上昇と頭痛に関係はある?
昔から血圧が上がると頭痛がする、と言われていました。
しかし、最近になって頭痛と血圧は無関係であることが証明されたのです。
そのため、高血圧は自覚症状が本当に乏しいといえます。
高血圧の基準「高血圧治療ガイドライン」
では、高血圧の基準を見ていきましょう。
日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン」が新しくなり、高血圧の基準が変わりました。
家庭内血圧は最高血圧が115未満、最低血圧が75未満が正常値。
正常高値血圧上が115から124、下が75未満。
さらに高いと高値血圧が、上125から134、下75から84です。
ここまでは観察が必要となりますが、高血圧だとはいえないようです。
高血圧になるのは家庭内血圧が上135以上から144かつ(または)下85から89の場合だそう。
これ以上の数値を家庭内血圧で測定した場合は高血圧だと診断されるようです。
診察室血圧で見てみると、上140以上かつ(または)下90以上となっています。
次の章で詳しく説明しますが、一般的に家庭内血圧と診察室血圧は差が出るので、分けて考えられています。
高血圧の段階
一言で高血圧と言っても段階があります。
段階はⅠ度、Ⅱ度、Ⅲ度の3段階に分けられ、疾病リスクとの兼ね合いで治療方法が異なるそうです。
また、先ほどご紹介した正常高値血圧は「高血圧一歩手前の段階で要注意状態」という意味。
高血圧予備軍の段階だといえます。
疾病リスクが高い場合は正常高値血圧であっても治療が行われます。
高血圧の原因
では、なぜ高血圧になってしまうのでしょうか?
血圧は心臓から送り出される血液の勢いと、血管の柔らかさによって決まると言われています。
そのため、心臓から出る血液量が増えることが高血圧の原因のひとつだと考えられているのです。
特殊な病気を除き、心臓が勢いよく動いたりはしないので、血液量が単純に増えると高血圧、というわけですね。
血液量が増える原因は塩分の摂取しすぎなどが考えられます。
もうひとつの原因としては血管の柔軟性が失われることです。
動脈硬化がこれに該当しますが、柔軟性が失われることで血圧が高くなります。
高血圧は基本的に血管の障害です。
その影響を受けやすいのは心臓、腎臓、脳。
これらに障がいが発生したときに初めて症状が発現します。
心臓なら心不全・狭心症・心筋梗塞、そして腎臓なら腎不全、脳なら脳卒中を引き起こしたとき、高血圧だと気がつく人が多いのです。
心不全や腎不全は徐々に進行し、症状も徐々に出現しますが、心筋梗塞、脳卒中は突然症状が発現するため、人生が一変する人も少なくありません。
自分は大丈夫、と思わず日頃から自分の血圧をしっかりと把握しておくことが非常に重要といえますね。
家庭内血圧と診察室血圧が大きく異なる、仮面高血圧・白衣性高血圧症とは?

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では、家庭内血圧と診察室血圧が大きく異なる「仮面高血圧」「白衣性高血圧症」について見ていきましょう。
まずは「白衣性高血圧症」ですが、こちらは病院で無意識のうちに緊張するため血圧が高くなってしまう症状。
実際にガイドラインではこのあたりも加味された数値が設定されていますよね。
注意しなければならないのが「仮面高血圧」です。
病院では正しい数値が出たとしても、早朝・夜間、職場など特定の時間や特定の場所で高血圧になる状態のことを指します。
仮面高血圧は特定の条件下で血圧が上昇してしまう、という点で他の高血圧とは一線を画しています。
正常範囲内の人でもやや血圧が高めの人はのうち、約16パーセントは24時間のモニタリングで仮面高血圧を示すそうです。
さらに高血圧治療の目標値140/90mmHg未満にコントロールしている人であっても、約30パーセントに仮面高血圧の疑いがあるそうです。
仮面高血圧の方が高血圧よりも危険!
仮面高血圧の人の方が脳や心臓の血管病が高血圧(Ⅰ度〜Ⅲ度)の人よりも早く進行するそうです。
アメリカ・コロンビア大学の研究報告によると、脳心血管疾患リスクは正常血圧の人を1とした場合、持続性高血圧の人が2.94倍、仮面高血圧の人は3.86倍と報告されています。
早朝高血圧、夜間高血圧、ストレス高血圧の3種類は特に危険。
早朝に最低血圧が急上昇するのが「早朝高血圧」。
特に夜間は低く、早朝に急上昇する「モーニングサージ」は心疾患リスクが高くなると言われています。
睡眠中も血圧が下がらないのが「夜間高血圧」。
降圧薬の効果が切れる、睡眠時無呼吸症候群、糖尿病で神経障害を併発している、心不全、腎不全の人は夜間高血圧になりやすいので注意が必要です。
そして職場などにいる間中血圧が高くなるのが「ストレス高血圧」。
ストレスのかかる場所で血圧が高い状態が続きます。
正しい血圧の測り方
こうした仮面高血圧を発見するためには日頃の血圧測定が重要です。
上腕血圧計が推奨されており、朝の測定は起床後1時間以内、朝食前、服薬前にトイレを済ませてから椅子に1分から2分座って落ち着いた状態で測定開始します。
夜間の測定は就寝直前が推奨されています。
朝晩、少なくとも1回ずつ測定することが推奨されており、1週間の血圧の平均が上135以上、下85以上の場合は医療機関を受診しましょう。
その際は必ず測定結果を控えたメモなどを忘れずに。
きちんと測定することで、高血圧症を早期に発見できるかもしれません。
ぜひ朝晩2回の血圧を習慣化しましょう。
高血圧を防ぐ生活習慣を取り入れよう!

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高血圧を見直すには生活習慣と食生活の改善が重要です。
運動の習慣を身につける、アルコール摂取量を減らす、喫煙しない、水分はしっかりと摂取する、という生活習慣が重要です。
また、食生活においては減塩、ミネラル類の摂取が肝要。
ぜひこれらを現在の生活習慣に取り入れて、脱高血圧の生活をしましょう。
高血圧の疑いがある、不安だという方はまず朝晩1回ずつの血圧測定を習慣化し、1週間測定してみましょう。
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