第46部・第7回 パソコンで美術館を巡ろう
第46部 パソコンで美術館を巡ろう
第46部・第7回 パソコンで美術館を巡ろう
●講座で使用しているノートパソコン
「大江戸ぱそこんライフ」
【登場人物紹介】
デジ形平次…江戸中に名を知られた腕利きの岡っ引。意外にも趣味はパソコンで、事件のない時は日がな一日ノートパソコンに向かっている。
アナ六…デジ形平次の子分で、名前のとおりのアナログ人間。パソコンを使いこなせるようになりたいが、いつもトンチンカンなことを言ってデジ形を呆れさせている。
ミドリ…デジ形平次の女房。パソコンに関してはデジ形より詳しいというのがもっぱらの噂。
彼らがお送りする時空を超えた『NEWぱそこんライフ講座』、さて今回のお話は……。
Googleストリートビューで美術館を巡る
アナ六
「11月も後半になって、秋ももうすぐ終わりですね。もう少し“何とかの秋”を楽しみてえなあ」
デジ形「この前の“食欲の秋”で、気が済んだんじゃねえのか?」
ミドリ「味はともかく、二人で一生懸命料理を作ってくれたねえ」
アナ六「食欲の次は、やっぱり“芸術の秋”ですかね。そうとなったら、さっそく美術館に行きたくなりましたぜ」
デジ形「そういえば、前に何とかいう江戸時代の画家の美術展が大ブームになって、入館するまでに4時間待ちだとかいうニュースがあったよな」
ミドリ「伊藤若冲だね。確か去年の春ごろの話だよっ」
アナ六「ええっ、美術館に入るのに4時間も並ぶなんて、それを聞いただけで行く気が失せましたぜ」
デジ形「普通はそこまで混まないだろうが、人気のあるものは、やっぱり人が多いだろうな」
ミドリ「せっかく美術館へ行っても、作品をじっくり落ち着いて見られなかったら残念だねえ」
アナ六「そもそも、あっしは美術館なんてほとんど行ったことがねえし、何だか不安だなあ」
デジ形「そんなことを言うなら、パソコンで美術館を巡ってみたらどうだ?」
アナ六「検索で美術展の情報を調べて、マップで美術館の場所や行き方を調べるっていうことで?」
デジ形「いや、実際に美術館に入って、中を見ることができるぞ」
アナ六「そいつはどういう仕組みなので?ぜひあっしに教えてくださいっ」
デジ形「タネを明かせば、Googleストリートビューだ。今回はストリートビューのユニークな使い方を教えてやろう」
アナ六「これであっしも芸術の秋を味わえますぜ!」
建物の内部も見られるストリートビュー
アナ六「Googleストリートビューっていうのは、通りの写真が出てきて、そのまま通り沿いに行ったり来たり、移動ができるヤツですよね」
ミドリ「移動するだけじゃなくて、360度、あらゆる方向に画面を動かせるのも特徴だよっ」
デジ形「初めて行く場所の道順を調べたりするときに便利だな」
アナ六「それと美術館とは、どういう関係があるので?」
デジ形「最近のストリートビューは、通りだけでなく、建物の中に入ることもできるようになった。レストランやお店のほかに、大きなターミナル駅やデパートなんかも、ストリートビューの形式で見られるところがあるぞ」
ミドリ「まだまだ一部で、どこでも見られるっていうわけじゃあないけどね」
アナ六「で、美術館も同じように、中に入って見られるっていうわけで」
デジ形「そのとおりだ。一部の美術館に限られるし、隅から隅まで見られるっていうわけじゃあねえが、館内の雰囲気は十分味わえるぞ」
アナ六「実際に美術館へ行く前に予行演習ができそうですねえ」
館内に並んだ作品をパソコンで鑑賞する
アナ六「いやあ、こいつは美術館の雰囲気が味わえていいですねえ」
デジ形「まあ、美術館は館内の雰囲気も大切だが、やっぱりそれぞれの作品を鑑賞するっていうのが重要だよな」
アナ六「でも、絵が斜めからしか見えなかったり、作品タイトルが見にくかったり、ちゃんと鑑賞するのはなかなか大変ですぜ」
デジ形「そこで、美術館のストリートビューならではの機能だが、一部の作品の脇にボタンがついているのがわかるか?」
アナ六「額縁の右下についている丸いヤツですね。こいつをクリックすると、おっ、情報みたいなのが出てきましたね」
デジ形「うむ。これで作品名や作者名などがわかるわけだ」
デジ形「このあと、作品画像の右下についている拡大アイコンをクリックすると、『Google Arts&Culture』っていうサイトで、改めて作品を見ることができるぞ」、
アナ六「これだったら、作品を鑑賞した気にもなりますね」
ミドリ「解説文が英語だけど、日本語に翻訳するボタンがついているからなんとか読めそうだね」
海外の美術館巡りもできる
デジ形「このストリートビューの美術館巡りは、もちろん海外でもオッケーだぞ」
アナ六「そいつは飛行機代が浮いてオトクだなあ」
ミドリ「でも、いつかは実際に海外に行って見てみたいものだね」
デジ形「海外の美術館っていうと、パリのルーブル美術館が有名だが、ここはまだストリートビューでは見られねえようだ」
ミドリ「モナリザも見られないんだね」
アナ六「海外のほうがストリートビューの公開が進んでるっていうわけでもないんですね」
デジ形「その代わりといっちゃ何だが、印象派の絵画がたくさんあることで有名な、パリのオルセー美術館を訪れてみよう」
アナ六「ト、トレビアーンですぜ!」
デジ形「あとはロシアのエルミタージュ美術館、ニューヨークのメトロポリタン美術館、ニューヨーク近代美術館(MOMA)、シカゴ美術館、美術館ではないが、ロンドンの大英博物館なんかもストリートビューで見られるようだ」
アナ六
「おおっ、これだけ巡れば、かなりの美術通になれそうですねえ」
サンゴ礁の海の中も、厳しい雪山の上も歩ける
アナ六「いろいろな美術館を巡って、芸術の秋はもう十分堪能しましたぜ」
ミドリ「実際に見に行ったわけじゃないのに、よく言うよっ」
デジ形「それなら、ここからは美術館から離れて、ストリートビューで見られるさまざまな場所を紹介していくぞ。まずは、GoogleストリートビューのWebサイト( https://www.google.co.jp/intl/ja/streetview/ )を紹介しよう」
アナ六「ストリートビューといったら、てっきりGoogleマップから見るものだと思っていましたが、こんなサイトがあるので?」
デジ形「うむ。Googleストリートビューの中から、きれいな景色や興味深い場所などをまとめたもので、見たい場所を選んだら、そこをストリートビューで見ることができる」
ミドリ「マップから探すんじゃなくて、景色から探すことができるんだね」
アナ六「こいつは旅行先を決めるのにいいですねえ」
デジ形「普通の観光地を歩くだけじゃなく、海の中を見ることもできるぞ」
アナ六「おおっ、海底散歩とはオツなことで」
デジ形「海の次は山だ。例えば富士山なんかは、登山道がそのままストリートビューで見られるぞ」
アナ六「自分も登った気になれるわけで」
ミドリ「たくさんの人が登っているけれど、実際に登山道を見ると、大変さがわかるね」
デジ形「もちろんこれも日本国内だけでなく、海外の山にも登れるぞ」
アナ六「こいつは素人じゃあ、とても登れなさそうですぜ」
ミドリ「写真とはいえ、目が回りそうだねえ。よくこんなところで撮影ができるものだよっ」
普通の人ではめったに行けない場所も
デジ形
「次は、一般人にはちょっと行けない場所を紹介しておこう」
アナ六「さっきの山も、あっしには絶対ムリですぜ」
デジ形「もっと行くチャンスがねえところだ。例えば南極とかな」
アナ六「ええっ、そもそも、そんなところにストリートがあるんですかい?」
アナ六「へえーっ、南極って、雪だらけでペンギンが歩いていると思ってましたぜ」
デジ形「そういうイメージが強いが、雪が溶けて、地面が見えている時期もあるんだな」
ミドリ「こんな厳しい環境でも、人間は住めるんだねえ」
アナ六「でも、あっしはとても住めそうにありませんぜ」
デジ形「次は、自然の厳しいところじゃねえが、ここもなかなか行けないところだ」
アナ六「おおっ、ホワイトハウスですかい?」
デジ形「そのとおり、ストリートビューでホワイトハウスに入ることができるんだ」
アナ六「ひええっ、こんなの見せちゃって、警備は大丈夫なんですかねえ」
ミドリ「実際に見られるのは、ニュースとかで流れるような、公開しても構わない場所だけなんだろうね」
デジ形「それでもやっぱり驚きだな」
アナ六「こっそり潜入したスパイの気持ちになれそうですねえ」
今はなくなった、あの建物が見られる
デジ形「最後に、ストリートビューのおもしろい機能を紹介しよう」
アナ六「それはいったい、どんな機能で?」
デジ形「今は見られなくなった風景がよみがえるっていうことだ」
アナ六「懐かしい昭和の風景とか?」
デジ形「Googleストリートビューの画像は数年おきに更新されるが、その更新前の画像も切り替えて見ることができる。さすがに昭和の風景はムリだが、場所によっては5、6年前の風景が見られるぞ」
アナ六「へえーっ、でも、今は見られねえっていうのは、どんな風景でしょう」
デジ形「たとえば今、建設中の国立競技場だ。現在のストリートビューだと建設中の現場の画像だが、数年前にさかのぼれば、まだ壊される前の競技場の姿が見られるぞ」
アナ六「なるほど、そういうことなんですね」
デジ形「さらに数年後は、ストリートビューで新しい競技場の姿が見られるんだろうな」
ミドリ「実際は壊す前の競技場の内部の画像とかも、いまだに見られるようになっているけどね」
アナ六「そういう失われた風景が、ストリートビューにはずっと残ってるんですねえ」
デジ形「どうだアナ六、Googleストリートビューはなかなかおもしろいだろう」
アナ六「芸術の秋も楽しめましたし、世界中あちこち旅したような気分ですぜ」
ミドリ「あたしは実物を見ないと気がすまないけどね」
デジ形「これでもう“○○の秋”は十分じゃねえか。これからの冬の季節、アナ六にはお勤めをしっかりしてもらわねえとな」
アナ六「ええっ、寒くなったら冬眠したいと思っていたのになあ」
ミドリ「そんなこと言わないで、町内の見回りを頼むよっ」
アナ六「見回りがGoogleストリートビューでできたらなあ」
デジ形「リアルタイム画像じゃねえんだから、ムリに決まってるだろうが」
ミドリ「 まあ、最近の技術の進歩はすごい速いから、案外近いうちに実現するかもね」
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