ひざからポキポキ音がする　実は変形性膝関節症のサインかも

医師にも音の意味がわからなかった

しゃがむ、立ち上がるなどひざを曲げる動作をしたとき、ひざから「ポキポキ」と音がしたことがありませんか。

音自体は指をポキポキと鳴らしたようにも聞こえますが、ひざからこの音が聞こえる人は、関節軟骨の老化や肥満による摩耗でひざ関節の骨がぶつかり激しい痛みを引き起こす「変形性膝関節症」になるリスクが高いとする研究結果を米国の研究者らが発表しました。

研究者らによると、ひざからポキポキ音がするという相談は昔から整形外科などでよくあったものの、検査などでは異常が見つからない場合が多く、医師も音が何を意味するのか、どう診断すべきなのかわかっていなかったそうです。

そこで、研究チームはひざに問題を抱えていない健康な男女3495人（平均年齢61歳）を対象に、4年間の追跡調査を実施することにしました。

定期的に行われる健康診断の際、「ひざが鳴る頻度」「ひざの痛みの有無」を聞き取り、レントゲンによる膝関節の状態を確認しています。

いつも音がする人はリスクが3倍に

ひざが鳴る頻度については、「膝を動かした時に、音が鳴ったり、きしみを感じたりすることがあるか」を確認し、回答は「まったくない」「まれにある」「時々ある」「しばしばある」「いつもある」から選択されています。

その結果、「まったくない」人に比べ「まれにある」人は変形性膝関節症になるリスクが1.5倍、「時々ある」人は1.8倍、「しばしばある」人は2.2倍、「いつもある」人は3倍と、鳴る頻度が多いほど、発症リスクが高くなっていました。

研究者らは「たとえ膝の痛みという自覚症状がなくても、ポキポキと音が鳴ることは、膝関節の内部で何らかの異常がある可能性があり、変形性膝関節症発症を予測する指標になる」とコメントしています。

日本整形外科学会は変形性膝関節症の予防として最も有効な方法に筋力トレーニングを挙げています。ひざが鳴るという人は痛みがなくても、今から対策を始めるとよいかもしれません。