メニュー
ゲストさん
 

【ゴールデンライフ】健康のために知っておきたい『油の新常識』

シニア応援マガジン『ゴールデンライフ』より提供しております。



健康のために知っておきたい油の新常識



「アブラ=太る」というイメージで、これまで悪者扱いされてきたアブラですが、今その健康長寿パワーが注目されています。
「油活で健康長寿」を唱える管理栄養士・足立香代子先生に、油が持つ驚異のパワーと、上手な摂り方について伺いました。

Q.アブラは悪者ではないのですか?

A.血糖値や中性脂肪値の上昇を抑える働きがあります。

アブラの一番の特徴に「消化吸収に時間がかかる」ことが挙げられます。
逆にいえば、それは「アブラ=腹持ちがよい」ということ。私たちは年を重ねると、一般的に食が細くなってきます。
今月の気になる
摂取カロリーが足りないと痩せてきますが、シニアの場合、痩せ過ぎは深刻な問題です。それはサルコぺニアといわれる全身の筋力低下につながり、要介護を招く原因となるからです。シニアの方々は少量で効率よくエネルギーになるアブラを、もっと有効活用すべきです。

さらに最近の研究では、アブラには「食後の血糖値の上昇を抑える」働きがあることがわかっています。高血糖の人では認知症リスクが高くなるといわれていますので、アブラの摂取は認知症予防につながることも期待できます。
  
 中性脂肪値も、アブラを摂ると上がると思っている人が多いようですが、アメリカ糖尿病学会では、中性脂肪値が高い場合は、まずはアルコールをひかえ、次に炭水化物を減らして、その分アブラを摂るように推奨しています。
 ただし、肉やバターなどの動物性脂肪の摂り過ぎは、心臓疾患などの要因になりやすいので良くありません。

Q.アブラが不足するとどうなりますか?

A.血管が弱くなったり、皮膚に痒みが出たりします。

今月の気になる
体は細胞が集まってできており、アブラは、細胞膜を構成する成分の1つです。

そのためアブラが不足すると、血管が弱くなったり、肌のツヤがなくなったり、髪の毛がパサついたりします。
シニアには皮膚乾燥による痒(かゆ)みをうったえる人が多いのですが、これもアブラ不足が原因の1つといえるでしょう。

また、脂溶性ビタミンなどはアブラと一緒に摂ると吸収が良くなる栄養素ですが、アブラが不足すると、こういった効果も薄れてしまいます。

Q.シニア世代にお勧めのアブラはありますか?

A.アマニ油や、エゴマ油です。

「努力しないと摂りにくいアブラ」と「努力しなくても摂れるアブラ」に分けて考えてみましょう。
 脂質を作る成分の「脂肪酸」には、「n─3系(オメガ3)」と「n─6系(オメガ6)」などがあります。
n─6系(オメガ6)は肉や大豆油、オリーブ油などの身近な食品に含まれているため、努力しなくても十分な量が摂取できるアブラです。

 一方、n─3系(オメガ3)は意識しないと摂りづらいアブラです。
n─3系(オメガ3)には、アマニ油やエゴマ油などに多く含まれる「α─リノレン酸」と、サバやイワシなどの青魚に多く含まれる「EPA」「DHA」があります。
厚生労働省が推奨するn─3系(オメガ3)の摂取量の目安は、1日1.6g~2.4gです。EPAとDHAが特に多く含まれるのが魚卵やトロ、ブリのカマ、ウニなどで、これらを十分に摂取しようと思えばコストもかかりますね。積極的に摂取するのは難しいかもしれません。
そこで活用していただきたいのが、アブラです。アマニ油やエゴマ油に含まれるα─リノレン酸は、その何割かが体内でEPAやDHAに変わります
魚を摂ることも心掛けながら、さらにアマニ油やエゴマ油を意識して摂ることをお勧めします。

Q.アブラの効果的な摂り方は?

A.火を通さずかけて食べる

 普段から私は、サラダに2種類のアブラをかけています。アマニ油とオリーブ油の組み合わせがほとんどです。
アマニ油は熱に弱いため、生で摂取するのがお勧めです。
アブラは数滴ではなく、ある程度の量をかけないと意味がありません。サラダにかける場合、1日当たり少なくとも大さじ1杯を目安にすると良いのではないでしょうか。

 皆さんは、地中海料理はお好きでしょうか?地中海料理は、世界の健康長寿食といわれています。
その理由は、オリーブオイルをはじめ魚、肉、豆、ナッツが豊富で、いろいろな種類のアブラをバランス良く摂取できるからです。
毎食いろいろなアブラをバランス良く摂るよう心掛けましょう。
 食後血糖を上げないためには、オイルドレッシングをかけたサラダや、アブラを使った料理から先に食べるのがお勧めですよ。


●お話を伺った方 

管理栄養士 足立 香代子(あだちかよこ)先生
一般社団法人臨床栄養実践協会理事長。
せんぽ東京高輪病院名誉栄養管理室長。
年間100回を超える講演会を通して管理栄養士の育成にも力を入れている。

2ページではアマニ油を使った健康レシピをご紹介します!⇒

固定ページ: 1 2

コメント

コメントを書く(クリックしてください)

関連記事
2025年5月22日

健康・美容

春の息吹を食卓へ! アスパラガスを味わおう!

春から初夏にかけて、店頭に並ぶ鮮やかな緑色が美しいアスパラガス。シャキシャキとした食感と、ほのかな甘みがたまらない、春を代表する野菜の一つですね。今回は、そんなアス...
2025年3月24日

健康・美容

苦みパワーで不調を改善

人間や動物は寒い冬を乗り切るため栄養分を体にため込む傾向があり、春になると、余分となった栄養分は老廃物となって外に排出されます。独特の苦みをもった春の山菜は、老廃物を外に出す成分を...
2025年3月10日

健康・美容

ランニングで脳を活性化!記憶力・集中力アップの秘訣

ランニングは単なる運動ではなく、脳を鍛える効果もあります。研究によると、ランニングによって記憶力や集中力を高める「海馬」や「前頭葉」が活性化し、新しい脳細胞が生まれることが分かって...
2024年8月1日

健康・美容

野菜・フルーツの老けない食べ方

老化の原因には、食事や生活習慣、ストレスなどさまざまな要因が挙げられますが、最近注目されているのが体の“酸化”。野菜や果物は、体の酸化を防いでくれる強い味方です。栄養素の長所を生か...
2024年7月1日

健康・美容

真夏に備えて、“汗活“をはじめよう!

気温が上昇すると、汗をかく機会や量も増えてきます。汗は体温調節などの重要な役割を担っており、“良い汗”をかくことも暑い時季を健康的に乗り切るポイントです。真夏に備えて“汗活”を始め...
2024年2月2日

健康・美容

めまいや頭痛の引き金に 気象病とその予防

低気圧が近づくと腰痛や関節痛がひどくなったり、季節の変わり目に片頭痛が出やすかったりしたことはありませんか? 天気の変化で不調を感じたら、それは「気象病」かもしれません。 「...