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自分の足、チェックしてますか? 下肢静脈瘤の基礎知識

下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)は、ふくらはぎなどの表面の血管がボコボコと浮き出る病気です。患者数は1千万人にのぼり、立ち仕事が多い人、出産経験のある女性などに多く見られます。放置すると皮膚炎に進むこともあります。

足の表面の血管が浮き出る

下肢静脈瘤は足の静脈に起こる病気で、足の表面に血管がボコボコと浮き出て見える、足の皮膚が変色する、足がよくつる、むくむ、だるいなどの症状があります。下肢静脈瘤のタイプは大きくわけて4つ。赤紫色のごく細い血管が浮き出る「くもの巣状」、青い血管が網目のように見える「網目状」、伏在(ふくざい)静脈という太めの静脈から枝分かれした側枝静脈に瘤(こぶ)ができる「側枝型」、伏在静脈に瘤ができる「伏在型」があります。
最も多いのは60~70代とされますが、近年では30~40代で発症するケースが増えています。

足に血液がたまってできる

血管には動脈と静脈があり、動脈は心臓から押し出された血液が通る血管です。反対に、心臓へ戻っていく血液が通る血管が静脈です。足の静脈は心臓よりはるか下にあり、血液を心臓に戻すためには、重力に逆らう力がいります。また、持ち上げた血液が元に戻らないようにする機能も必要です。そこで、血液を心臓に戻すために静脈の循環に備わっているのが「筋ポンプ」「逆流防止弁」の作用です。
「筋ポンプ」作用は、足を動かしたとき、ふくらはぎの筋肉が収縮と弛緩(しかん)をくりかえし、足の静脈を圧迫して、血液を心臓に戻す働きのことです。「逆流防止弁」は血液が通過するときに弁が開き、その後はピタッと閉じて、血液の逆流を防ぐ働きをしています。これらの作用がうまく機能しなくなると、血液は心臓に戻りにくくなります。その結果、足に血液がたまって、血管に瘤ができます。

進行すると色素沈着や潰瘍も

下肢静脈瘤を引き起こす原因には、「立ち仕事」「長時間のデスクワーク」「妊娠・出産」などがあります。運動不足の人も、筋力の衰えから「筋ポンプ」の働きが悪くなるため、下肢静脈瘤が起こりやすくなります。悪性の病気ではないので、一部の場合をのぞき、治療に一刻を争うことはありません。しかし、その見た目に悩む人は多く、症状が進むと、湿疹や皮膚が黒くなる色素沈着が起きることがあります。さらにそれを放置していると、静脈の流れの悪化から皮膚や皮下組織が栄養不足状態となり、わずかな刺激でも炎症が起きて、皮膚がただれて潰瘍ができるなどの事態を招くこともあります。

セルフケアで改善

下肢静脈瘤を予防し、進行を食い止めるためには、弾性ストッキングの着用、運動の習慣、体操といったセルフケアが効果的です。弾性ストッキングを着用すると、足首から上に向かって足が段階的に圧迫されるので、下肢の静脈の血液が下から上へと流れやすくなります。軽い症状なら、市販の弾性ストッキングを利用してもよいでしょう。
運動不足も悪化要因のひとつです。運動不足になると筋力の低下から筋ポンプ作用が弱くなり、むくみやだるさなどの症状が強くなります。自転車、ダンス、ショッピング、青竹踏みなども効果的です。
仕事で長時間同じ姿勢になりがちという人は、仕事の合間に簡単な体操を取り入れましょう。

*立ち仕事の方に「つま先立ち体操」

(1)足を肩幅に開き、背筋を伸ばして、両手で机や手すりをつかむ
(2)ゆっくりと両足のかかとを上下させる。10回ほど繰り返す

*デスクワークの方に「足の指グーパー」

(1)イスに浅く腰掛けて両足のかかとを床につけ、足の指をグーにして2~3秒キープする。
(2)足の指をパーにするようにできるだけ広げて2~3秒キープ。10回ほど繰り返す
※皮膚炎が起こっている場合や、症状が辛い場合、見た目が気になるときは、必ず医師に相談してください。

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