日本の高齢者は「痩せすぎ」?原因と健康な老後のための習慣とは?
最近、日本の高齢者は痩せすぎていることがニュースになっています。
「太っているよりも痩せている方がいい」「多少太っている方が体調がいい」など人によって適正な体型や体重は異なるものです。
しかし、痩せすぎは死亡リスクを高めるなど、体に悪影響だと言われています。
痩せすぎにはどのようなリスクがあるのでしょうか?
また、自分にぴったりな体重=適正体重はどのくらいなのでしょうか?
本日は「痩せすぎ」問題についてご紹介します。
日本人の適正体重は何キロ?
ダイエットという言葉が広く使われるようになりましたよね。
英語でダイエット(=diet)という言葉の意味を調べてみると、「日常の食物」「規定食」という意味があることがわかります。
「日常の食物」というのは毎日食べる普通の食べ物のこと。
「Japanese live on a staple diet of rice.(日本人は白米を主食にしている)」という例文が記載されていました。
この例文に「diet」という言葉が出ていますよね。
このダイエットという言葉は、日本人が使うような「痩せる」「食事を制限する」という意味は全くなく、日常的に食べている、というニュアンスで用いられています。
このほか「規定食」という意味も存在しています。
「The patient must eat a diet(その患者は規定食をとらなければならない)」。
この例文におけるダイエットの使われ方は「規定食」です。
規定食とは美容・健康維持を目的に、食事の量や質を制限すること、という意味が近いでしょうか。
私たちが日ごろ使うダイエットの意味に近そうですが、実は「痩せる」という意味はここに含まれていないのです。
もちろん、太りすぎている人にとっての規定食は痩せるための食事でしょう。
しかし、痩せすぎている人にとっての規定食は「太るための食事」といえるのです。
日本人が用いる「ダイエット」に気をとられがちですが、本来的な意味では「適正体重を目指す」というほうが適切だといえるでしょう。
日本人の肥満の割合
厚生労働省が公表している「平成29年国民健康・栄養調査」によると、肥満の定義は「BMI25以上」だそう。
BMI25以上に該当するのは、男性30.7パーセント、女性21.9パーセント。
この10年ほど大きな増減はないそうです。
一方で痩せている人(BMI18.5未満)の割合は男性4.0パーセント、女性10.3パーセント。
こちらもここ10年ほど大きな増減は見られません。
しかし、特に20代女性は「やせ」の割合が高く、21.7パーセントにものぼります。
年代別で見てみると、肥満男性は70代以上がもっとも少なく25.7パーセント。
男性は20代26.8パーセント、30代32.0パーセント、40代35.3パーセント、50代31.7パーセント、60代34.1パーセントという結果に。
女性は20代5.7パーセント、30代14.2パーセント、40代17.4パーセント、50代22.2パーセント、60代25.8パーセント、70代26.5パーセント。
男性は年齢が上がると肥満の割合が減少しますが、女性は上昇していることがわかりますよね。
体重ではなくBMIで適正体重をチェック
体重の方が手軽に測定できるので、ついつい体重で判断しがちになりますが、BMIで見るのが理想的だそうです。
BMIは「体重(kg)÷身長(m)の2乗」で求められます。
体重60kg、身長170cmの人の場合は、
「60(kg)÷1.7(m)の2乗」=20.76となります。
ポイントは身長はメートルで計算するということ。
170cmなら、1.7で計算を行いましょう。
では20.76というのはBMIで見るとどういった区分になるのでしょうか?
- 18.5未満 低体重
- 18.5以上25未満 普通体重
- 25以上30未満 肥満(1度)
- 30以上35未満 肥満(2度)
- 35以上40未満 肥満(3度)
- 40以上 肥満(4度)
日本肥満学会によると、BMIでこのような区分ができるそうです。
20.76は18.5以上25未満なので、普通体重になりますね。
皆さんもぜひBMIを計算してみてください。
「痩せすぎ」の影響とは?認知症と死亡リスクにつながる可能性も
肥満は糖尿病や高脂血症、高血圧など良くない病気を引き起こす要因。
だから痩せていた方が長生き。
というと、実はそうではないようです。
近年の研究ではBMIで「肥満」に該当する人よりも「やせ」に該当する人のほうが死亡率が高いことがわかっています。
国立がん研究センターの調査結果によると、日本人の男女ではBMI19未満の「やせ」の人のほうが死亡率が高いそうです。
高齢者(65歳以上)に限定した場合の研究は北海道大学大学院が行いました。
約2万7000人の高齢者を11年以上追跡調査を行った結果、BMI20から29.9の人がもっとも死亡リスクが低く、20未満の人はやせていればやせているほど死亡リスクが高くなるそうです。
具体的にはBMI16未満の層死亡リスクは男性で基準値である20から29.9の人の1.78倍、女性で2.55倍にも達するそう。
一方、BMIが高いグループでは男性の総死亡リスクは変わりませんでした。
実際に脳梗塞や心筋梗塞は肥満型の人よりもやせ型の人のほうが罹患リスクが高い、というデータもあります。
脂肪やコレステロールといった「悪」に見がちなものは、血管を形作る材料でもあります。
これらをあまり摂取しない生活をしていると、徐々に血管のしなやかさが失われていくそうです。
認知症リスクも
このほか、JAGES(Japan Gerontological Evaluation Study:日本老年学的評価研究)のコホートデータを用いた研究では、認知症発症率を調べています。
山梨大学の横道洋司氏らが行ったこの研究では、糖尿病、高血圧、脂質異常症、肥満、やせに関する認知症リスクを比較。
これらの代謝性疾患とBMIの組み合わせによる認知症リスクを調査しています。
平均5.8年、3,696人を追跡調査したところ、このうち338人が認知症を発症したそうです。
標準体重で疾患がない人を基準にした場合、肥満の人は0.73および0.82、やせ型の人は1.04および1.72ということがわかりました。
この研究からもやせ型の方がリスクが高いことがわかりますよね。
肥満が決して良いわけではありませんが、「痩せすぎ」というのは病を引き起こす要因にもなる、ということがわかります。
食事で栄養バランスをしっかり対策!たんぱく質は特に重要!
では、どのような食事を摂取するのが健康に良いのでしょうか?
まず高齢者に必要な摂取かっろりーを見ていきましょう。
一日の大半を座って過ごしている50歳〜69歳までの男性は2100キロカロリー、女性は1650キロカロリー。
70歳以上の男性は1850キロカロリー、女性は1500キロカロリーです。
同様に座っていることが中心だが職場で移動したり立ったり、軽い運動をする50歳から69歳の男性は2450キロカロリー、女性は1,900キロカロリー。
70歳以上の男性なら2200キロカロリー、女性は1750キロカロリーとなります。
また、より活発な運動習慣を持っている50歳から69歳までの男性なら2800キロカロリー、女性2200キロカロリー。
70歳以上なら男性2500キロカロリー、女性2,000キロカロリーが望ましいとされています。
まずはこの摂取カロリーを目標にしてみましょう。
高齢者はタンパク質が不足しがち
また、シニア世代は普段の食事でタンパク質の摂取不足が叫ばれています。
食べ物はタンパク質の量にも注目して選んでみると良さそうですね。
もちろん、バランスの良い食事は非常に大切。
食事に気を配って、いつまでも健康で長生きしましょう!
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