「ビタミンD」は中高年世代にとても重要!ガンや骨粗しょう症防止にもなります
冬は風邪予防のためにビタミンCが重要だとか、疲労回復にはビタミンB、視力維持のためにはビタミンAなどが重要である、ということはよく耳にします。
ビタミンは私たちの身体にさまざまな良い影響を与えてくれるため、しっかりと摂取することが重要です。
そんななか、あまり耳馴染みがないのがビタミンDではないでしょうか?
ビタミンDにはガンや骨粗しょう症を予防する効果があることで知られ、シニア世代こそ積極的に摂取したい栄養素のひとつ。
本日はビタミンDについてご紹介します。
ビタミンDはの効果とは?免疫力は高めてくれる?アトピーが改善する?花粉症が軽減される?噂を検証

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まずはビタミンDにどのような効用があるのかを見ていきましょう。
ビタミンDの効用
アメリカ国立衛生研究所(National Institutes of Health、NIH)が「ビタミンD不足は世界的問題」と指摘しています。
とりわけ日本人のビタミンD濃度は極めて低いと言われており、厚生労働省は2018年12月、ビタミンD摂取基準値の引き上げを発表しています。
ビタミンDが特に不足していた戦後、1955(昭和30)年頃までは、くる病の子どもや骨軟化症の大人が多かったのです。
これらの病気、最近では耳にしませんよね。
くる病、骨軟化症を予防するために、当時はビタミンDが豊富なタラの肝臓を絞った肝油を子どもに飲ませる、という習慣がありました。
肝油を飲んだことがある、という方も多いのではないでしょうか?
現在では栄養状態が改善されたことから、子どもに肝油を飲ませる、という習慣はなくなりましたが、今現在に至ってもなお、日本人のビタミンD不足は深刻な問題で、表面化はしていませんが、潜在的ビタミンD不足の人は少なくないようです。
ビタミンDは最近特に研究が進んでおり、健康に対してさまざまな効用があることがわかっています。
ひとつめは免疫力向上やアレルギー症状を改善する、という効用。
ビタミンDには細菌やウイルスを攻撃し、殺す「カテリジン」というタンパク質を作らせる働きがあります。
このほか、「βディフェンシン」という抗菌ペプチドを皮膚上に生成させ、バリア機能を高めていることもわかっています。
新型肺炎「COVID-19」が話題になっている今だからこそ、ビタミンDは積極的に摂取したいところですね。
また、このほか、紫外線を浴びることで体内に合成されることもわかっています。
そのため、紫外線量が少なくなる冬はビタミンDが減少。
合わせて抗菌ペプチドも減少するため、風邪を引きやすくなったり、インフルエンザを罹患したり、アトピー性皮膚炎が悪化しやすくなったりします。
もしも冬にこういった症状が発現する、という方は、原因はビタミンD不足にあるのかもしれませんね。
このほか、花粉症にも効果があるのだとか。
花粉症の発症要因のひとつに腸が関わっているのではないか、と指摘されています。
これはリーキーガット症候群といって、腸の粘膜細胞間の結合が緩み、隙間が大きくなるため、未消化で分子が大きいままのタンパク質、糖、口から入った果粉といったものが腸壁から漏れ出して、体内に侵入してしまうため、過剰なアレルギー反応を引き起こすのだそうです。
ビタミンDには緩んだ腸粘膜の結合を改善し、免疫抗体の産生を促進する効果もあることから、花粉症の根本原因を改善してくれるのではないか? と期待されているのです。
さらに、神経のバランスを整える脳内物質・セロトニンを調節することもわかっています。
セロトニンをコントロールできれば、うつなど精神の症状に効果が期待できます。
実際に冬に日照時間が極端に短くなる(極夜がある)北欧圏では、自殺率が比較的高いといわれています。
ちなみに2017年の人口10万人当たりの自殺率は日本が16.8、フィンランドが15.0となっています。
これだけ見ると、日本が以上に高いですよね。
世界保健機関の調査によると、自殺率がもっとも高いのが「リトアニア」で31.9、次いで「ロシア」(31.0)、「ガイアナ」(29.2)、「韓国」(26.9)、「ベラルーシ」(26.2)。
こうしてみてみると、寒い国ほど自殺率が高いことがわかります。
要因のひとつとして考えられているのが、日光を浴びる時間が不足し、ビタミンDが生成されない、ということ。
日本においても、冬場は「冬季うつ」と呼ばれる、日照不足を起因とする抑うつ症状の患者が急増します。
冬場であっても1日15分程度は、しっかりと日光を全身で浴びることを習慣づけた方が良さそうですね。
カルシウムとも結合する
このほか、ビタミンDは食事から摂取したカルシウムの吸収を手助けしてくれます。
また、血液中のカルシウムを骨に吸収させる役割も担ってくれるのです。
中高年にとくにビタミンDが重要な理由は?

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さて、すべての年代で摂取べき栄養素であるビタミンDですが、中高年ほど積極的に摂取した方が良いといわれています。
ビタミンDが不足すると骨粗しょう症になりやすいと言われているためです。
実際に近畿大学医学部学部長の伊木雅之教授が15年間にわたり、ビタミンDと中高年女性の骨折との関連を調べました。
調査は1996年から開始。
50歳以上の女性1,236人を対象に行い、血液を採取してビタミンDの血中濃度を測定。
15年間追跡調査を行い、骨折リスクを調べました。
1996年の調査開始段階では、全体の半数以上がビタミンD欠乏状態だったといいます。
5年後に行われた2001年の調査では、ビタミンDが欠乏状態だった人が背骨以外を骨折するリスクが、ビタミンDが充足している人の3.49倍だということがわかりました。
ひどい欠乏状態の人はさらに悪く、6.55倍にもなったのだとか。
さらに追跡を続け、15年後の調査では、ビタミンDが欠乏状態の人は、骨折リスクが継続していることがわかりました。
こうした調査からも、中高年ほどビタミンDを積極的に摂取した方が良い、といわれているわけですね。
ビタミンDが豊富な食品(食べ物)は?サプリでの摂取もOK?

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では、どのような食品にビタミンDが多く含まれているのでしょうか?
ビタミンDが多く含まれているのはサケ、カツオといった魚類のほか、きのこ類です。
特に干しシイタケがおすすめで、食べる前に日光に当てるとビタミンDの含有量が増えるのだとか。
これからはぜひ日光に当ててから食べるようにしてみてくださいね。
また、ヨーグルトもビタミンDが豊富に含まれているモノが販売されています。
普段からヨーグルトを食べる習慣がある人は、こうしたヨーグルトに切り替えるのも良いでしょう。
同様に牛乳もビタミンDが多く含まれているものもあります。
いずれも成分表をしっかりと見て、選ぶと良さそうですね。
さらに牛レバーはシニア世代が不足しがちな動物性タンパク質を補えるだけで亡く、ビタミンDも効率的に摂取可能です。
このほか、亜鉛、鉄分、ビタミンA、葉酸などが凝縮されているので、ぜひ食卓に取り入れてみてください。
カルシウム不足を補うためにアーモンドの摂取もおすすめ!
これらの食品と合わせて、カルシウムが豊富な食品も食べましょう。
おすすめはアーモンド、ピスタチオといったナッツ類。
ナッツ類にはカルシウムが豊富に含まれているので、習慣的に口にするようにしましょう。
脂肪分が多いものもあるので、必ず成分表をしっかりとチェックしてみてくださいね。
食品だけでなく、日光浴も大切です。
合わせて日光を浴びることもお忘れなく。
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