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自然に帰る、自然の中で眠る「樹木葬」

近年、多様なライフスタイルの変化に伴い、お墓の形態も多様化しています。人々の価値観の変化や終活の一環として、自身の埋葬方法やお墓を予め契約する人が増えています。その中で注目されているのが「樹木葬」です。

■樹木葬とは

樹木葬は、一般のお墓とは異なり、生きた樹木や草花を墓標とします。一口に樹木葬といっても、郊外の山林を活かしたものから、草花や芝生で彩られた都会のガーデン風のものまで、さまざまなタイプがあります。自然回帰や自然に包まれて眠るイメージがあり、また従来のお墓に比べて費用を抑えられることから人気を集めています。

■樹木葬の歴史

1999年、岩手県の一関市の知勝院が始めた樹木葬が、日本初と言われています。2006年に公営霊園でも樹木葬が始まり、2012年に都内の公営霊園でも始まったことから、民間の霊園にも広がっていきました。

■樹木葬の特徴

1.樹木・草花を墓標にする

1霊に1本植樹するものや、墓地の中心にシンボルツリーを植え、その周辺に埋葬するもの、ガーデン風のものなどさまざまなタイプがあります。

2.永代供養が多い

樹木葬の多くは、お墓の継承者を必要としない永代供養となっています。そのため、子孫にお墓を継承させていくことはできません。

3.価格は、低め

樹木葬は、大きな敷地を要する従来のお墓に比べると、埋葬に必要なスペースが小さく、墓石を建てる必要がないため、費用は低く済むことがほとんどです。ただ、個別埋葬や合祀埋葬の場合は、子孫に継承はできないので、一人ひとりに対して費用がかかります。

4.維持管理の必要がない

樹木葬の掃除や植木の手入れなどの維持管理は、基本的には霊園や寺院が行います。

5.宗教・宗派・国籍等の制限が少ない

寺院の境内地内にある墓地の場合、宗教・宗旨・宗派などで制限されることがありますが、これらの制約がない場合がほとんどです。

■樹木葬の形態

樹木葬は、大きく分けて里山型と都市型の2種類があります。

●里山型

自然の山林を活かして墓地とする形態です。自然回帰という意味では、樹木葬のイメージ通りの葬法です。一人ひとりに新しい樹木を植えるタイプと、すでに自生している樹木の周りに遺骨を埋葬するタイプがあります。自然と一体化しているため、埋葬場所がわかりにくくなることがあります。また、広大な山林が必要になるため、墓地が都市部から離れた郊外にあることが多く、墓参りが困難になる傾向があります。

●都市型

都市部にある寺院や墓地に樹木葬の区画が設置されている形態です。一人ひとりに新しい樹木を植えるタイプもありますが、ほとんどはシンボルツリーの周辺に遺骨を埋葬するタイプです。公園や庭園のように見える、一見お墓に見えないものもあります。都市部の交通の便が良い所にあるため、人気となっています。

■埋葬方法

樹木葬は埋葬方法は、大きく分けて個別埋葬、共同埋葬、合祀埋葬の三つのタイプに分けられます。

●個別埋葬

一人ひとりに専用の区画があり、そこに個別に埋葬されます。どこに埋葬されているか明確なため、従来のお墓に近い形です。

●共同埋葬

家族 (もしくは友人などの集団)に専用の区画があり、そこにまとめて埋葬されます。骨袋、もしくは骨壷に入れた状態で埋葬するので、他人のお骨と混ざることはありません。こちらも個別埋葬と同じく、埋葬場所が明確なため、従来のお墓に近い形です。

●合祀(ごうし)埋葬

合祀は「合わせて祀る(まつる)」という意味で、他の人の遺骨と一緒に埋葬する方法です。遺骨は、そのまま他の遺骨と混ぜて埋葬するタイプも骨袋に移して混ざらないようにするタイプもあります。

最終的な選択は個人の価値観や希望によるものです。樹木葬の形態や特徴をよく理解し、家族や信頼できる人々と相談しながら、自身に最適なお墓のスタイルを見つけることが大切です。終活の一環として、樹木葬を検討してみてはいかがでしょうか。

コメント
  1. 身内が居ないものとしては非常に良いと思います

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