第42部・第5回 Windows Inkで広がる手書き入力
第42部 スタンダードノートで秋を楽しむ
第42部・第5回 Windows Inkで広がる手書き入力
●講座で使用しているノートパソコン
「大江戸ぱそこんライフ」
【登場人物紹介】
デジ形平次…江戸中に名を知られた腕利きの岡っ引。意外にも趣味はパソコンで、事件のない時は日がな一日ノートパソコンに向かっている。
アナ六…デジ形平次の子分で、名前のとおりのアナログ人間。パソコンを使いこなせるようになりたいが、いつもトンチンカンなことを言ってデジ形を呆れさせている。
ミドリ…デジ形平次の女房。パソコンに関してはデジ形より詳しいというのがもっぱらの噂。
彼らがお送りする時空を超えた『NEWぱそこんライフ講座』、さて今回のお話は……。
「Windows Ink」の機能を紹介
アナ六「今年も残りあと2か月を切って、最近は親分も忙しそうですねえ」
デジ形「年末のいろいろな活動に向けた町内の寄り合いで、ちょこちょこ家を空けるようになったな」
ミドリ「買い物から帰ってくると、急にいなくなったりしているから、ちょいと困るよ」
アナ六「おや、すれ違いの生活っていうわけで」
デジ形「必要なことは、ちゃんと伝言を残しているから大丈夫だ」
ミドリ「テレビ番組の録画をしてほしいとか、わりとどうでもいい伝言ばかりだけどね」
アナ六「その伝言っていうヤツは、チラシの裏にでも書いておくので?」
デジ形「いや、付箋に書いて、パソコンの画面に貼り付けているぞ」
アナ六「そんなもの画面に貼り付けて、パソコンは大丈夫なんですかい?」
デジ形「何言ってんだ、パソコンの付箋のアプリに決まっているだろうが」
アナ六「なるほど、メモといっても、手書きではないんですね」
デジ形「いや、付箋には手書きで伝言を書いているぞ」
アナ六「はてさて、パソコンのアプリなのに手書きって、わけがわかりませんぜ」
アナ六「へえーっ、この付箋っていうのは、フリーのアプリか何かで?」
デジ形「いや、確かに付箋のアプリっていうのは、昔からいろいろなものがあるが、今回のはWindows 10のアニバーサリーアップデートで追加された、『Windows Ink(インク)』の機能のひとつだ」
アナ六「そういえば、前にそういう説明を聞きましたね」
ミドリ「第41部・第13回で説明したばかりだよっ」
デジ形「そのときは、Windows 10のアップデートの内容の話だったが、じゃあ今回はWindows Inkの機能にしぼって紹介してやろう」
アナ六「おおっ、そいつは面白そうですねえ」
「Windows Inkワークスペース」から起動
デジ形「改めて『Windows Ink』について説明しておこう。これはデジタイザーペンなどを使った手書き機能を活かすためのもので、『付箋』と『スケッチパッド』と『画面スケッチ』がある」
アナ六「さっきの付箋は、その中のひとつなんですね。こいつもスタートメニューから起動するので?」
デジ形「いや、そこが普通のアプリとは違うところで、タスクバーの右側にある通知領域に『Windows Inkワークスペース』というアイコンがある。そいつをクリックするんだ」
ミドリ「アニバーサリーアップデート済みなのに、このアイコンが見当たらない場合は、タスクバーを右クリックしたときのメニューで『Windows Inkワークスペースボタンを表示』を選ぶと表示されるよっ」
アナ六「確かにこいつは普通のアプリとは違いますねえ」
デジタイザーペンで手書きができる「付箋」
デジ形「じゃあ、『Windows Ink』のそれぞれの機能を紹介していこう。まずは付箋からだ」
アナ六「出てきた付箋にメモを書くだけですね」
ミドリ「それですませたら、話が終わっちゃうよっ」
デジ形「この付箋は、手書きで書きこめるのが特徴だが、今のところはdynaPadで使っているようなデジタイザーペンにしか対応していないようだ」
アナ六「それって、どういうことで?」
デジ形「要するに、タッチ操作に対応しているパソコンでも、手書きで書きこめない場合があるっていうことだ」
ミドリ「デジタイザーペンに対応している画面じゃないと、普通のタッチペンや指先では書けないっていうことだね」
アナ六「そいつは不便ですねえ」
デジ形「その場合は、キーボードで文字を入力できるぞ」
ミドリ「そうすると、今までの付箋アプリとあまり変わらなくなるけどね」
アナ六「ところで、最初に付箋は画面の真ん中に出てきますが、こいつはほかの場所に動かせるので?」
デジ形「うむ。普通のウィンドウを操作するのと同じ要領で、付箋の上辺の帯状の部分をドラッグすれば自由に動かせる。それに、4辺の端の部分をドラッグすれば、大きさも変えられるぞ」
ミドリ「画面いっぱいまで広げることもできるようだね。そうすると、付箋とはいえなくなりそうだけどさ」
アナ六「これは1個だけじゃなくて、数を増やせるんですかい?」
デジ形「もちろんだ。左上にある『+』をクリックすれば、同じ大きさの付箋がもう一つ出てくるぞ」
アナ六「おおっ、いくらでも伝言できますねえ」
デジ形「ついでに言うと、右上の『…』をクリックすると色を選べて、その隣りのゴミ箱のアイコンは、付箋を消去するときにクリックする」
アナ六「まあ、その程度のことは説明するまでもありませんけどね」
デジ形「そんなこと言うと、もう教えてやらねえぞ!」
アナ六「いえいえ、そんなつもりでは……」
定規で線が引ける「スケッチパッド」
デジ形「次に、『スケッチパッド』を紹介しよう。まあ、スケッチと言っても、実際の使いみちは、簡単な図やメモ書きなどを書いて記録しておくっていうところだな」
アナ六「画面を見ると、メニューの左端に、ペンみたいなアイコンが三つ並んでいますね」
デジ形「うむ、これはペンの種類で、左からボールペン、鉛筆、蛍光ペンとなっている。クリックすれば、ペンの種類を選ぶほかに、色や太さも変更できるぞ」
アナ六「蛍光ペンは、実際の蛍光ペンみたいに四角い線が引けるんですね」
デジ形「スケッチパッドと、あとで説明する画面スケッチのユニークな機能として、定規がついているぞ。これを使えば、直線を引くことができるんだ」
アナ六「へえーっ、定規のへりの部分をなぞれば、それに沿ってまっすぐな線が引けるわけで」
ミドリ「定規の角度を変えるときは、指を2本使ってドラッグすればいいんだね」
デジ形「単に絵を描くだけじゃなくて、手書き風のグラフや図も作れるわけだな」
デジ形「さっきの付箋はデジタイザーペンでないと手書きができなかったが、スケッチパッドと画面スケッチは、『タッチによる手書き』アイコンをクリックすれば、普通のタッチペンや指先で線を引けるようになるぞ」
ミドリ「もちろんパソコンがタッチ操作に対応していることが前提だけどね」
アナ六「この、人差し指で線を引いているアイコンですね」
アナ六「で、絵を描いたら保存すればいいんですかい?」
デジ形「そのとおりだが、こいつは描いたら保存するだけで、一度描いた絵のファイルを読み込んだりすることはできない」
アナ六「じゃあ、絵を描いてる途中でやめるときはどうすればいいので?」
デジ形「やめるときの状態がそのまま保存されるから、次にその続きを描くことができるぞ」
アナ六「それなら世間をアッと驚かすような大作も描けそうですね」
ミドリ「アナ六にそんな絵心があったかね?」
デジ形「あと、保存するときに注意してほしいのが、ファイル形式はpngだけしか選べないっていうことだ」
ミドリ「最近はpngも増えてるけど、画像のファイルといえば、だいたいjpegかbmpだね」
アナ六「そいつは困りますねえ」
デジ形「そこで、裏ワザと言ってはなんだが、メニューから『コピー』を選んで、『ペイント』などの別のアプリに貼り付けるっていう手がある。そうすれば、png以外のファイル形式でも保存ができるぞ」
アナ六「ちょいと手間にはなりますが、そんな方法があるんですね。でも、それだったら、最初から『ペイント』で絵を描けばいいのでは?」
ミドリ「それを言ったらおしまいだよっ」
デジ形「まあ、スケッチパッドのほうがメニューも少ないし、手軽に描けるけどな」
いろいろな使い方ができる「画面スケッチ」
デジ形「最後の『画面スケッチ』だが、これはパソコンの画面をキャプチャーして、そこにスケッチパッドと同じ要領で書きこみができるっていう機能だ」
ミドリ「『画面スケッチ』を起動したときのパソコン画面がキャプチャーされるんだね」
アナ六「カラフルな落書きができて楽しいですねえ」
デジ形「もっと役に立つ使い方を考えたほうがいいぞ」
デジ形「例えば、定規でまっすぐな線を引けるから、気になる文やキーワードなどに線を引いて保存するなんて使い方があるだろう」
ミドリ「これならマウスの操作でも楽にできるから、タッチ操作のできないパソコンでも使えそうだよっ」
アナ六「重要なところに線を引くなんて、何だか学校の勉強を思い出しますねえ」
デジ形「あとは、パソコンに詳しい人に使い方を教えてもらうときに、画面スケッチでパソコンの画面を切り取って、質問したい部分に手書きで印をつけるとか、そんな使い方もあるだろう」
ミドリ「友達に一緒に行くお店や場所を知らせるのに、そこのWebサイトのURLをメールに貼り付けたりするけど、そのかわりに、サイトの画面を画面スケッチで切り取って、書きこみをしてメールで送るなんて使い方もあるかもね」
デジ形「いずれにしても、手軽にできるっていうのが重要だな」
アナ六「なるほど、『手軽に』っていうのがキーワードですね。画面スケッチの定規で線を引いときますぜ」
アナ六「親分、あっしも画面スケッチの使い方を考えましたぜ、見てください」
デジ形「何だこれは?野球の優勝記事にいろいろ落書きを書きこんで、優勝したチームが変わってるじゃねえか」
アナ六「いやあ、あっしの応援していたチームが負けたもので、悔しくて。相手のチームを応援していた知り合いに送ってやろうかと」
デジ形「落書きはともかく、事実を曲げるだなんて、岡っ引の風上にもおけねえぞ!」
アナ六「手書きだから、ウソなのはバレバレですけどね」
ミドリ「そんなのケンカになるだけだから、やめときなっ。また来年応援すればいいじゃないさ」
アナ六「へいっ。来年は絶対優勝ですぜ!」
デジ形「今から来年のことを言うと……なんていうのは、ちょいと野暮だな」
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