第32部・第13回 暑さ!落雷!省エネ!――夏のパソコン対策
第32部 INとOUTで楽しむパソコンライフ
第13回 暑さ!落雷!省エネ!――夏のパソコン対策
●講座で使用しているノートパソコン
「大江戸ぱそこんライフ」
【登場人物紹介】
デジ形平次…江戸中に名を知られた腕利きの岡っ引。意外にも趣味はパソコンで、事件のない時は日がな一日ノートパソコンに向かっている。
アナ六…デジ形平次の子分で、名前のとおりのアナログ人間。パソコンを使いこなせるようになりたいが、いつもトンチンカンなことを言ってデジ形を呆れさせている。
ミドリ…デジ形平次の女房。パソコンに関してはデジ形より詳しいというのがもっぱらの噂。
彼らがお送りする時空を超えた『NEWぱそこんライフ講座』、さて今回のお話は……。
「雷サージ」からパソコンを守ろう
アナ六
「ヒャー、ゴロゴロ鳴り出しましたぜ」
デジ形
「くわばら、くわばら、落ちねえでくれよな」
ミドリ
「梅雨だから雨が降るのは仕方ないけれど、雷は勘弁してほしいねえ」
アナ六
「親分も、いかつい顔をして雷が嫌いなんて意外ですね」
デジ形
「顔は関係ねえぞ!それに単に嫌いってだけじゃねえ。雷が落ちたりしたら大変なことになるからな」
アナ六
「そりゃあ頭の上に落っこちてきたらオダブツですが、普通はせいぜい停電するぐらいじゃねえですかい?」
デジ形
「甘くみたらいかんぞ。ヘタをしたらパソコンがぶっ壊れちまうからな」
アナ六
「壊れるって言うからには、雷が直接パソコンに落ちたりするので?」
デジ形
「いや、雷が近所に落ちたってだけで危ない場合があるんだ」
アナ六
「停電してパソコンの電源が切れれば作業中のデータがなくなっちまうってことですかい?」
ミドリ
「ノートパソコンならバッテリー駆動に切り替わるから急な停電でも安心さっ」
デジ形
「停電じゃなくて、問題なのは『雷サージ』と呼ばれるものだ」
アナ六
「マッサージならわかりますが、その『なんとかサージ』ってのは初耳ですぜ」
デジ形
「簡単に言うと、雷が落ちたとき、周辺の電線や電話線などに膨大な電流が発生することだ。それが家の配線に侵入してパソコン本体に流れ込むと、パソコンが破壊されるってわけだ」
アナ六
「何で雷が落ちると電流が流れるので?」
デジ形
「雷が落ちると強力な電磁界が生じる。そこに電線があると、電磁誘導によって強い電流が流れるという理屈だ」
アナ六
「電磁誘導?何だか難しそうですねえ」
デジ形
「電磁界から電流が発生するのは、『フレミングの法則』ってヤツで中学のときに習ったはずだぞ。右手か左手かは忘れたが」
ミドリ
「3本の指を別々の方向に伸ばすヤツだねっ」
アナ六
「あいにくあっしは寺子屋出身なもので」
デジ形
「まあオレもあまり覚えちゃいねえけどな」
アナ六
「とにかく雷が鳴ったら要注意ってことですね。対策としては、電源のプラグをコンセントから外しておけばいいわけで?」
デジ形
「電線だけじゃねえぞ。電話線もテレビのアンテナの線からも雷サージの電流が流れ込んでくる可能性があるって話だ」
ミドリ
「電話の回線からインターネットに接続している場合は危ないってことだね」
アナ六
「じゃあ、インターネットの線も外して……って、無線LANの場合はどうなるんですかい?」
デジ形
「無線LANなら、電話線経由の雷サージの影響は受けないぞ」
アナ六
「なるほど。その場合は電源プラグを抜くだけで大丈夫ですね。でも、雷が鳴るたびにプラグを抜くってのは面倒ですねえ」
デジ形
「ムフフフ、そういうアナ六のために、ちょうどいい対策グッズがあるぞ」
アナ六
「こいつは電源の差込口を増やすヤツじゃないですか。これが落雷対策になるので?」
デジ形
「確かに一見すると普通のマルチタップだが、中には『バリスタ』と呼ばれる素子が組み込まれていて、雷サージの電流を吸収するって仕組みだ」
アナ六
「おおっ、そんな便利な道具があるんですね」
デジ形
「これにパソコンの電源をつなげばとりあえずは安心だ」
ミドリ
「複数の差込口があるから、テレビとか家電製品にも使えるねえ」
アナ六
「でも、こんなに小さな部品で落雷の電流が防げるんですかい?」
デジ形
「うむ、注意書きによると、直撃の雷や雷サージの程度が大きすぎる場合は、機器を守りきれないことがあるって話だ。結局は、電源プラグを外すのが確実な対策だな」
ミドリ
「でも、雷が近くで鳴っているときは、電源プラグに触れないほうがいいって話もあるよっ」
デジ形
「ちょうど雷が落ちて雷サージの電流が流れてきたら、感電するかもしれねえからな」
アナ六
「ひええっ、そいつが一番恐いですねえ。でも、さっきからパソコンを守る話ばかりですが、ほかの家電製品は大丈夫なので?」
デジ形
「いや、もちろん雷サージの電流が流れてきたら、コンセントにつないである家電製品や、電話線とつながっている固定電話などの通信機器は被害を受ける可能性が高い。だが、パソコンには消えては困るデータが入っているからな」
アナ六
「なるほど、壊れた家電は買い換えればいい話ですが、パソコンに入っている写真や文書は金では買えませんからね」
ミドリ
「だから、データのバックアップも定期的にやっておかないとねっ」
アナ六
「結局、話はそこに落ち着くわけですね」
冷却グッズでパソコンをクールに使おう
デジ形
「落雷の対策を話したついでに、今回は夏に向けてパソコンに施すべき対策について紹介していこう」
アナ六
「今年の夏も暑いんでしょうねえ」
ミドリ
「エルニーニョ現象の影響で冷夏になるって予報もあったけどね」
デジ形
「暑い夏になると、うるさくなるものがあるな」
アナ六
「いやあ、これから眠ろうってときに、耳元で蚊がブンブンしているとイライラしますぜ」
デジ形
「今はパソコンの話をしているんだぞ。夏に暑い部屋の中でパソコンを使っているとパソコンが熱くなり、突然冷却ファンが音をたてはじめるだろうが」
アナ六
「ああ、パソコンの中から熱風が出てくるヤツですね。あの音もパソコンが壊れるんじゃねえかってビックリしますぜ」
ミドリ
「熱風が出てくると暑さも倍増だけど、パソコンを使う以上は仕方がないねえ」
アナ六
「いっそのこと、あの熱風が出てくるところをテープか何かでふさいじまったらどうでしょう?」
デジ形
「そんなことをしたら、たちまちパソコンが壊れちまうぞ!あれはパソコン内部の熱を逃がすためのものだからな。通風孔のところに物を置いてふさぐのもダメだ」
ミドリ
「それにパソコンの通風孔はホコリがつまりやすいから、掃除機などでこまめに吸い取るといいよっ」
アナ六
「でも、あの『ブオー』って音は何とかなりませんか?」
デジ形
「まあ軽減するってことなら、パソコン冷却グッズを使うといい」
アナ六
「おおっ、夏らしい話になってきましたぜ」
デジ形
「これまでも冷却グッズはいろいろ紹介してきたが、今回はこれだ」
アナ六
「あれっ、こいつは風を吹き出してパソコンを冷却するんだと思いますが、吹き出し口が見えていますぜ。位置がずれているんじゃねえですか?」
デジ形
「写真で見えているのは風を吹き出すのではなく、外気を取り込むほうの口だ」
アナ六
「なるほど。じゃあ風はどこから出てくるので?」
デジ形
「パソコンの端を冷却台に載せることで、パソコンの底に少し隙間ができる。そこへ風を吹き出して冷却するわけだ」
ミドリ
「送風口は冷却台の側面についているんだね」
アナ六
「ふむふむ。でも、この風を送る冷却ファンの音は気にならないんですかねえ?」
デジ形
「風のスピードはハイとローの2段階あり、ローにすれば音が静かだという話だ」
アナ六
「確か冷却ファンを使わない冷却グッズもありますよね」
デジ形
「ジェル状の素材を使った冷却シートだな。確かにあれを使えば余計な音が出なくていいだろう。だが、冷却効果はやはり劣るようだ。時間が経って冷却シート自体が熱を持ってしまうと、効果が激減するからな」
アナ六
「うーん、長く使う場合は、やはり冷却ファンで冷やすほうがいいってわけで。パソコンだけでなく、あっしも冷やしてほしいなあ」
ミドリ
「まあ、風が吹くわけだから、少しは涼しいかもね」
パソコンの省エネ設定とは?
デジ形
「落雷対策に熱対策とくれば、最後は省エネ対策だ」
ミドリ
「エネルギーの無駄遣いもなくしたいけれど、実際問題として電気代がジワジワと上がってきているから、今年の夏も節電に努めたいねえ」
アナ六
「毎年夏になるとおなじみのテーマですね」
デジ形
「おなじみと言うからには、どんな対策があるか覚えているな?」
アナ六
「ええっと、こまめにパソコンの電源を切るとか……」
デジ形
「全然覚えちゃいねえな。もちろん長く使わないときは電源をシャットダウンするが、中断する時間が1時間半ぐらいまでならスリープのほうが節電になるぞ」
ミドリ
「スリープ中は電力を消費するけれど、それよりパソコンを起動するときの電力のほうが多いって理由だったね」
アナ六
「そ、そうでしたね」
デジ形
「あと、スクリーンセーバーもテーマによってはやや電力を消費するので、節電するならスリープにするほうがいい」
ミドリ
「スクリーンセーバーっていうのは、もともとブラウン管ディスプレイの焼き付きを防ぐためのものだからね。液晶ディスプレイにとっては、作業中の画面を隠すぐらいの役割しかないのさ」
アナ六
「けっこう面白いスクリーンセーバーもありますけどね」
デジ形
「まあ、スクリーンセーバーを止めたところで劇的に消費電力が減るわけでもねえから、ムリに止めなくてもいいけどな」
デジ形
「あと、ディスプレイの輝度を下げるってのも省エネになるぞ」
アナ六
「画面がギラギラしてまぶしいと、目にも悪そうですからね」
ミドリ
「画面を暗くして見えにくくなったら本末転倒だから、うまい具合に調整したいね」
デジ形
「現在は低電力の白色LEDを使っているものが多いが、ひと昔前のディスプレイならけっこう効果的だ」
アナ六
「ひと昔前っていうと、ブラウン管ですかい?」
ミドリ
「さすがにブラウン管のディスプレイを使っている人はほとんどいないんじゃないかねえ」
デジ形
「その場合は液晶ディスプレイに買い換えるのが一番の省エネだな」
デジ形
「それで、自動的にスリープになるまでの時間を設定したり、ディスプレイの輝度も同時に調整できるのが、コントロールパネルの『電源プラン』だ」
アナ六
「いくつかの項目をまとめて設定できるんですね」
デジ形
「自分の好きなように設定できるが、あらかじめ設定されたプランを選ぶこともできるぞ。推奨されている『バランス』のほかに『省電力』や『高パフォーマンス』という項目がある。それからパソコンメーカーが独自の電源プランを設定している場合があり、東芝のパソコンには『eco』というプランが設けられている」
アナ六
「その『eco』を選べば省エネになるわけですね」
デジ形
「うむ、その通りだ」
ミドリ
「そういえば東芝のパソコンには『TOSHIBA ecoユーティリティ』ってアプリもあったね」
デジ形
「それなら、次に東芝パソコンならではのエコな機能を紹介しよう」
アナ六
「おおっ、エコなんて言葉は、久々に聞きましたぜ」
ミドリ
「ちゃんと心に留めておかないと、いつまでたってもエコな社会は作れないよっ」
エコなパソコンライフを目指す「TOSHIBA ecoユーティリティ」
デジ形
「『TOSHIBA ecoユーティリティ』は、『節電に貢献したい』という気持ちを総合的にサポートする目的で作られたアプリだ」
ミドリ
「まさにエコ好きなあたしのためにあるようなアプリだね」
アナ六
「いったいどんなことができるので?」
デジ形
「ecoユーティリティのウィンドウの左側にメニューがある。ここで『ecoモード』を選べば、先ほどの電源プランにあった『eco』と同じ設定にできるぞ」
ミドリ
「現在の電力消費量が出ているから、ecoモードをオン・オフして消費電力を比べてみるのもいいかもね」
デジ形
「あと『ピークシフト』を選ぶと、AC電源とバッテリー駆動を、設定した時間通りに自動的に切り替えることができる。真夏の昼のように電力消費が電力供給量のピークに近づく時間帯はバッテリーで駆動し、比較的余裕のある夜間はバッテリー充電にあてるという具合だ」
ミドリ
「猛暑になったりすると、また節電が求められるかもしれないしね」
アナ六
「電源コードをコンセントにさして使っていても、時間になれば自動的にバッテリー駆動になるんですね。こいつは手間いらずの便利な機能だ」
デジ形
「あともうひとつは、『バッテリーライフサイクル』にある『eco充電モード』だ。これは節電ではなく、バッテリーを長持ちさせるという意味でのエコだな」
ミドリ
「ノートパソコンをいつもAC電源で使っていて、バッテリーがつねに100パーセント充電されていると、バッテリーの寿命が縮むんだってね」
アナ六
「へえーっ、そんなことがあるんですか」
デジ形
「そこでeco充電モードをオンにしておけば、つねに80パーセント程度までしか充電されず、バッテリーの寿命が延びるってわけだ」
アナ六
「へえーっ、充電といえば100パーセントが当たり前なのに、80パーセントで止めてしまうとはとは面白い話ですねえ」
デジ形
「だが、これはノートパソコンを室内で使う場合の話だ。屋外で使うとなったら、eco充電モードをオフにして、100パーセント充電したほうが当然長い時間使えるぞ」
ミドリ
「それを忘れると、思ったより短い時間でノートパソコンがバッテリー切れを起こすわけだねっ」
アナ六
「いやあ、うっかり忘れそうですねえ」
デジ形
「最後に今回の夏モデルから搭載された新技術『長寿命化充電制御』を紹介しよう。その名のとおり、バッテリーの寿命を延ばすための充電制御技術ってことだな」
アナ六
「eco充電モードとはまた違うものなので?」
デジ形
「うむ。eco充電モードは充電量を80パーセントに抑えることでバッテリーを長持ちさせる技術だが、長寿命化充電制御は普通に100%充電を繰り返しても、バッテリーを長持ちさせることができる技術だ」
ミドリ
「最大で通常のバッテリーの2倍長寿命だってさっ」
アナ六
「そりゃあすごい。でも、これがあったらeco充電モードなんていらなくなるのでは」
デジ形
「そういうわけではなく、この二つの技術を併用するように勧めているぞ。もっぱらノートパソコンを家で使う場合はeco充電モードをオンにして、家の外で使う場合は、eco充電モードをオフにすれば、自動的に長寿命化充電制御が有効になるそうだ」
アナ六
「なるほど、それでますますバッテリーが長生きするってわけですね」
アナ六
「ゴロゴロ、ゴロゴロ」
デジ形
「おっ、また雷が鳴っているのか?パソコンの電源プラグを抜いておくほうがいいな」
ミドリ
「でも雨は降っていないし、雲も切れてきたよっ」
アナ六
「ゴロゴロ、ゴロゴロ」
デジ形
「なんだ、雷じゃなくて、アナ六の腹が鳴っていたのか」
アナ六
「あっしも充電しねえとバッテリー切れになりそうですぜ」
ミドリ
「おまんじゅうがあるけど、食べるかい?」
アナ六
「ぜひお願いしますぜ!」
デジ形
「だが腹八分目、80パーセントで我慢するんだぞ」
ミドリ
「eco充電で長持ちってわけだね」
アナ六
「いえ、長寿命化充電制御がありますから、100パーセント充電、つまり満腹でも大丈夫ですぜ」
デジ形
「やれやれ、食べ物がからむと難しい言葉もよく覚えるものだな」
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