第33部・第8回 電子ペンでイラストに挑戦!
第33部 右手にパソコン、左手にタブレット
第8回 電子ペンでイラストに挑戦!
●講座で使用しているノートパソコン
「大江戸ぱそこんライフ」
【登場人物紹介】
デジ形平次…江戸中に名を知られた腕利きの岡っ引。意外にも趣味はパソコンで、事件のない時は日がな一日ノートパソコンに向かっている。
アナ六…デジ形平次の子分で、名前のとおりのアナログ人間。パソコンを使いこなせるようになりたいが、いつもトンチンカンなことを言ってデジ形を呆れさせている。
ミドリ…デジ形平次の女房。パソコンに関してはデジ形より詳しいというのがもっぱらの噂。
彼らがお送りする時空を超えた『NEWぱそこんライフ講座』、さて今回のお話は……。
『dynabook KIRA L93』で絵を描こう
アナ六
「今日は朝からいい天気で。また暑くなりそうですねえ」
デジ形
「暑いといっても、もう8月も下旬だ。秋の気配が近づいてきているぞ」
ミドリ
「そういえば、朝晩に吹く風が涼しくなった気がするね」
アナ六
「ガキの頃はこの時期になると、夏休みの宿題でてんやわんやでしたぜ。大人になって夏休みは短くなったけど、宿題がなくなってよかったなあ」
デジ形
「どんな宿題が出ていたんだ?」
アナ六
「問題集とか読書感想文とかいろいろありましたけど、一番大変だったのが絵日記ですぜ。ギリギリになってまとめて書いていたんですが、話のネタを作るのが大変で」
ミドリ
「おやおや、ウソの話を書いていたのかい?」
アナ六
「マンガにテレビに昼寝と、毎日同じようなことをしていたので、書くことがなかったんですよ」
デジ形
「情けねえ話だな。だが、絵日記ってのは大人になってからやってみると意外と面白いかもしれねえぞ」
アナ六
「宿題はもうこりごりですぜ」
ミドリ
「宿題のように強制されないから面白いのさっ」
デジ形
「それに今は、絵筆を使わなくても絵が描けるからな」
アナ六
「それはパソコンを使うってことですかい?」
デジ形
「もちろんだ。『dynabook KIRA L93』なら専用のデジタイザーペンがついているから、絵を描くのもバッチリだぞ」
アナ六
「なるほど、それなら紙に絵を描くのと変わりませんね」
デジ形
「それに『dynabook KIRA L93』なら、絵を描くのに最適な『キャンバススタイル』に変形することもできる」
アナ六
「ええっと、それってどんな形でしたっけ?」
デジ形
「じゃあ、ちょいと見せてやろう」
アナ六
「おっ、この形のことでしたか。机にまっ平らに置くよりも、少し角度がついているほうが描きやすいってことでしたね」
デジ形
「この機種ならではのスタイルといえるだろうな」
アナ六
「でも、この形ではキーボードが使えないですよね。文字の入力が必要なときは、またドッキングさせるので?」
デジ形
「いや、そんな必要はねえぞ。分離させたキーボードは、ブルートゥース(Bleutooth)の無線キーボードになるから、そのままキーを押せば文字入力ができる」
ミドリ
「タブレットみたいに画面上にキーボードを出して文字を入力することもできるよっ」
アナ六
「へえーっ、くっついても離してもキーボードが使えるとは便利ですねえ」
非タッチのパソコンはペンタブレットで
アナ六
「『dynabook KIRA L93』がお絵描きに便利ってのはわかりましたが、ほかのパソコンの場合はどうすればいいんでしょう?」
デジ形
「タッチ対応なら、タッチペンや指先で直接画面に絵を描くことができる。ただし、L93のようなデジタイザー方式のほうが、より正確な線が引けるし、筆圧も感知するから描きやすいだろう」
アナ六
「タッチ対応パソコンでない場合は、やっぱりマウスを懸命に動かして絵を描くしかないわけで?」
デジ形
「その通りだが、ちゃんと絵を描きたいなら『ペンタブレット』を使う手があるぞ」
アナ六
「ええっ、パソコンに絵を描くのにタブレットが必要になるんですかい?わけがわかりませんぜ」
ミドリ
「ありがちな勘違いだねえ」
デジ形
「ペンタブレットってのはレグザタブレットのようなタブレット端末ではなく、マウスのような操作に関連する機器の一種だ。板状のタブレットの上で電子ペンを動かすと、その動きを検知してパソコン上でポインタが移動する。マウスがペンに置き換わったと考えてもいいだろう」
ミドリ
「本格的にパソコンでマンガやイラストを描く人には必須な機器だねっ」
アナ六
「へえーっ、マンガは好きですが、描くほうには興味がなかったもので、そんなものがあるとは知りませんでしたぜ」
絵画入門に最適な「ペイント」
デジ形
「では、これからいろいろな描画アプリを紹介していこう。まずはWindowsのアクセサリーに入っている『ペイント』からだ」
アナ六
「あんなおまけのようなアプリで絵が描けるんですかい?」
ミドリ
「Windowsパソコンには必ず入っていて、写真の加工にも使える便利なアプリじゃないさっ」
デジ形
「普通は写真川柳や写真しりとりのように写真に文字を載せたり、写真のトリミングやサイズ変更に使うぐらいだからな」
ミドリ
「マウスだったら難しいかもしれないけれど、ペンを使えば結構描けるんじゃないかねえ」
アナ六
「じゃあ、あっしにやり方を教えてくださいっ」
デジ形
「やり方といっても、もともとシンプルなアプリだ。ブラシの種類を選んで色を決めたら、一心不乱に描くだけだな」
アナ六
「その、ブラシってのは何種類あるので?」
デジ形
「9種類から選ぶことができるぞ。通常のブラシ、鉛筆のほか、タテと横で太さが違うカリグラフィ、クレヨンにエアブラシ、油彩や水彩のブラシもある」
アナ六
「ええっ、油彩ってことは油絵が描けるんですかい?」
ミドリ
「油絵にはならないけど、色を重ねたときに、ちょいと油絵っぽく見えるようだね」
アナ六
「ブラシを選んだら、次は色ですね。でも、色の数が少なくねえですかい?」
デジ形
「欲しい色がなかったら、『色の編集』を選んで色を追加すればいい。カラーパレットから色を選んで『色の追加』をクリックすれば、選べる色が増えるぞ」
アナ六
「このパレットってヤツは、逆に色が多すぎて迷っちまいますぜ」
図形を活用してイラストをつくる
デジ形
「ペイントの特徴は、『色1』と『色2』の2色を選べることだ」
アナ六
「普通に描くと、色1の色になりますよね。じゃあ、色2ってのはどういう色なので?」
デジ形
「うむ、ヘルプによると色1は『前景色』、色2は『背景色』と呼ばれている。それで、普通に描くと前景色になり、右クリックしながら描くと背景色になるんだ」
ミドリ
「電子ペンにも右クリックに相当するボタンがついていると、色の使い分けができるよっ」
アナ六
「へえーっ、色を切り替えるためのものですかい?」
デジ形
「それだけじゃねえぞ。背景色は消しゴムをかけたときの色になる。色2は白の場合が多いから気づかねえだろうが、色2に白以外の色を選ぶと、消しゴムをかけたあとの色がその色になる」
アナ六
「消しゴムをかけたのに色がつくなんて、わけがわかりませんぜ」
ミドリ
「だから普段は色2を白にしておいたほうがいいんだね」
デジ形
「もうひとつ背景色が関係するのが『図形』だ」
アナ六
「マルとか四角とか星印や矢印が並んでいるところですかい?」
デジ形
「うむ、これはマウスのドラッグだけで自動的に図形が作れる仕組みになっている」
アナ六
「で、背景色との関係は?」
デジ形
「図形を選ぶと『輪郭』と『塗りつぶし』の色の有無やブラシの種類を選ぶことができるが、この場合に輪郭は前景色、塗りつぶしは背景色になるんだ」
アナ六
「ええっと、星の形の輪郭は赤で、中を青にするとか?」
デジ形
「そのうえで、ブラシと同じように塗り方のタッチをクレヨンや水彩風に替えることができるぞ」
ミドリ
「絵が苦手って人でも、これだったら星や丸を組み合わせて面白い絵をつくることができるかもしれないよ。マウスも使えるしね」
アナ六
「自分で線を引かなくても絵が描けるなんて、楽でいいですねえ」
デジ形
「楽かもしれねえが、色の組み合わせやどんな図形を並べるかっていう美術的なセンスが問われるぞ」
アナ六
「そういえば、ガキの頃は工作は得意だったんですが、図画は苦手でしたねえ」
大人の塗り絵が楽しめる「フレッシュペイント」
デジ形
「ペイントは昔からあるデスクトップアプリだが、Windows 8のストアアプリにも、『フレッシュペイント(Fresh Paint)』という絵が描けるアプリがあるぞ」
アナ六
「前に教わったような気がしますぜ」
デジ形
「東芝のWindows 8のパソコンには最初から付属していたからな。その後バージョンアップして面白い機能がついたから紹介しよう。まあ、起動してみればわかるぞ」
アナ六
「おや、起動してすぐの画面に中途半端に塗りかけたトラの絵がありますね」
デジ形
「うむ、紹介したかったのはこれだ。要するに、この続きをやれということだな」
アナ六
「こいつは難しそうな塗り絵で」
デジ形
「確かに難しいが、色を塗る訓練にはなるぞ。このアプリは線画をダウンロードして色を塗って遊ぶという使い方もあり、子供から大人まで楽しめる塗り絵アプリとしても使えるぞ」
ミドリ
「ほかにも写真を取り込んで着色したりすることもできるようだね」
アナ六
「でも、このトラの絵は子供の塗り絵と違って、根気がいりますねえ」
本格的なイラストが描ける「クリップスタジオ ペイントプロ」
デジ形
「最後に『dynabook KIRA L93』に付属している『クリップスタジオ ペイントプロ(CLIP STUDIO PAINT PRO)』を紹介しよう」
アナ六
「プロっていうからには本格的なもので?」
デジ形
「うむ。Webサイトを見ると、マンガ家やイラストレーターを目指す人向けに作られているようだな」
アナ六
「今まで教わったアプリとはどこが違うので?」
デジ形
「メニューやサブウィンドウなどがやたらと多くて、初心者にはとっつきにくいかもしれねえな。ペンの種類や太さの段階も段違いに多いぞ」
アナ六
「こいつは大変そうだあ」
デジ形
「あとはプロ仕様だけあって、『レイヤー』を使った絵が描ける」
アナ六
「何ですか、その『プレイヤー』の『プ』がなくなって気が抜けたような言葉は?」
デジ形
「『レイヤー』は『層』って意味だ。透明な下地に絵の一部分が描かれていて、それが何層も重なり合って1枚の絵になっていると考えればいいだろう」
アナ六
「なるほど。でも、それが何の役に立つので?」
デジ形
「いろいろなことができるが、とりあえずはイラストを描きながら説明しよう」
アナ六
「ええっ、親分がイラストを描くんですかい?そいつは珍しい」
デジ形
「説明用だからうまいヘタは気にするなよ。まずは下書きからだ」
アナ六
「おや、青い線で描くんですかい?」
デジ形
「これはペン入れの元になるもので、ペンと同じ黒だとまずいからな。それにあとでこのレイヤー(層)は見えなくするぞ」
アナ六
「見えなくするって、絵を消去するわけじゃないんですかい」
デジ形
「特定のレイヤーだけ隠すことができるんだ。じゃあ、新しくレイヤーを作ってペン入れをしていこう」
アナ六
「なるほど、下書きの線をなぞっていくってのは楽ですねえ」
デジ形
「ペン入れが終わったら、さっき言ったように下書きのレイヤーを隠してペンの線だけを残す。次に、またレイヤーを作って色を塗っていく。ペンの線を上のレイヤーにすれば、線を塗りつぶしてしまったり、消してしまうような失敗はないぞ」
アナ六
「なるほど、そういうワザが使えるんですね」
デジ形
「で、色を塗り終えたら完成ってわけだ」
アナ六
「おおっ、うまいヘタはともかくイラストができましたね!」
デジ形
「お前の評価は聞きたくねえぞ!」
アナ六
「しかし、絵を描くってのはいいものですねえ」
ミドリ
「おやおや、絵に興味を持ったのかい?」
アナ六
「ええ、あっしも親分のパソコンで絵を描いてみてえなあ。でも自慢じゃねえが、あっしもヘタですからねえ」
デジ形
「絵を描くっていうならパソコンを貸してもいいぞ」
アナ六
「おおっ、そいつはありがてえ」
デジ形
「その代わりに毎日絵日記を描いてオレたちに見せるのが条件だ」
アナ六
「ええっ、そいつは幼い頃の苦しみがよみがえりますぜ。そればかりはご勘弁を」
デジ形
「そうすれば絵がうまくなると思ったんだがな」
ミドリ
「やっぱり強制するのはよくないよっ」
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