【人生100年時代】急増中のシニア写真モデルに初挑戦! インタビュー&撮影舞台裏ご紹介
「楽しかった。長生きしてよかった。」今回写真モデルにチャレンジされたシニアモデルの方から伺った言葉です。人生100年時代の日本において、多様にセカンドライフを謳歌するシニアの方たちが増えています。スローネット編集部では、60歳以降に新しいチャレンジを始めた方々へインタビューを行い、新たに見つけた生きがいや生涯現役でいる秘訣を伺います。今回は企業からの募集が急増している「シニア写真モデル」に初挑戦されたお二人をご紹介します。
「シニア写真モデル」とは
今回のチャレンジは、シニア向けの旅行や不動産などの広告イメージに使うための「シニア写真モデル」。
英会話やパソコン、最先端のロボット、AIスピーカー、体操、フィットネスから、健康維持、食事風景など、シニアのライフスタイルやヘルスケアに合わせた商品やサービスが増える中、その広告に使うための写真の需要が急増しています。
例えばこのような写真↓
通常ポスターやウェブサイトに出す広告は、商品やモデルやカメラマンを呼んで撮影する必要があるため大きな費用がかかります。
そこで、あらかじめ「旅行」や「不動産」など広告で使われそうなテーマに沿って、イメージ写真を撮影するというお仕事があります。広告を作る方はそのイメージ写真の中から宣伝する商品やサービスに合う写真を選び、お金を払って使うことが出来ます。こうすることで撮影の手間が少なく、広告制作にかかる費用が抑えられるしくみです。
そしてこのようなイメージ写真には、テレビCMに出るようなプロモデルではなく、なるべく普段の生活に近い自然な雰囲気が求められるため、一般の方からモデル募集することが増えています。
今回は「シニア写真モデル」の仕事にお二人の方が初挑戦されたので、その様子をご紹介します。
■今回モデルにチャレンジされた方
左:中村さん(84歳・男性) 右:山田さん(86歳・女性)
■これまでの人生・キャリア
○中村さん(84歳・男性)
専業主婦の妻と猫一匹との暮らし。
59歳で早期退職後東京から北海道に。その後シルバー人材センターに登録し、駐車場の管理や、信用金庫などで仕事を続け、現在は「シルバー人材センター」役員を務める。プライベートでは吹奏楽団の指揮を 長年続けるほか趣味のゴルフ、麻雀、料理なども楽しむ。
○山田さん(86歳・女性)
夫 (93) と二人暮らし。二世帯住宅の一階で暮らし、週末は5人のひ孫に囲まれ賑やかに過ごす。
これまで夫の転勤に伴う移動のほか、子育ての傍ら電話の交換手や呉服店の店員として勤めを続けてき た。現在は週 2 回病院で入院患者の話し相手をするボランティアのほか、趣味の三味線を楽しむ。
朝8:30、撮影地に集合
今回の写真撮影は札幌市内にある、サービス付き高齢者向け住宅「ウィステリア N17」にて行われました。朝8:30、すっかり晴れた青空と少し肌寒い風が吹く中、撮影地に集まり慌ただしく撮影の準備が進みます。
とても広々とした施設で、中にはレストランやスポーツジム、展望風呂や、談話室、整骨院や内科や調剤薬局なども併設されています。今日はこちらの施設にて、定年後の生活をイメージさせる、ヘルパーさんとの会話、タブレットやスマートフォンの操作、車椅子での移動、血圧の検査などのシーンが撮影される予定です。
香盤表(こうばんひょう)と言うスケジュールに沿って撮影が進められます。
こちらは控え室です。撮影シーンに合わせて、スタイリストさんが着替えを準備しているところです。
モデルの皆さんには普段着ているお洋服も持って来て頂きました。
モデルさんのメイクも進みます。
お二人に「今回のモデル応募のきっかけ」についてお話しを伺いました。
【中村さん】
「シルバー人材センターに登録して25年にもなるのだけど、今はセンターの役員をしていましてね。 でもたまには仕事もしましょうということになって、モデルの説明会行ってね、何人選ばれるかわからないって聞いていたのだけども。シルバーさんから電話があってね「撮影に行ってください」と言われてね。 メイクされるなんて始めてだよ。(笑) どうにでもやってください。」
【中村さん】
「写真モデルは初めてだけど人前に出るのは別に緊張はしないよ。緊張で眠れないとかもないですよ。」
【山田さん】
「今年の1月通っている整骨院に「シルバー人材センター」のチラシが置いてあって、好奇心から登録してみようと思いまして。」
【山田さん】
「男の方は庭仕事たくさんあるけど、「わたしは体力的にもう力仕事はできないし、車の運転が必要なお仕事も難しいし」と思っていたんです。そうしたらセンターさんから「お仕事入りましたよ」と言われて。」
「嬉しかったですね。写真モデルのお仕事だと聞いて「ああそれなら出来るかもしれない」と思って説明会へ行ったんです。なんだか昨日は眠れなくって。
(メイクが終わって)あらー、やっぱりプロの方がやると違うわね。(笑)」
いよいよ撮影開始!
「まずはスマートフォンを持って、お話しているような感じでソファーに腰掛けてください。」
とカメラマンから指示が出ます。
中村さんがポーズを取ると、カシャカシャカシャと早速撮影が進みます。
「もしもーしと言ってみてください」
「はいそれでは左手で」
「右手に持ち替えて」
「少し上を向いてください」
「ソファーにもたれる感じで」
次々とカメラマンからの声がけに合わせてポーズを変えると・・・
すぐに撮影された写真がタブレットに表示されます!
あっという間に、電話会社の広告にありそうな素敵な写真が続々と撮影されます。
「それでは次に「痛み」シーン撮影いきまーす」
とスタッフから声がけ入ります。
「え!なんか痛いことするの!」
とドキリとしてしまいましたが、もちろんそんなことはありません。
膝や腰など、痛いときのポーズを演技してもらうのです。
医療関係の商品やサービスで使われるような写真の撮影に進みます。
「中村さん、胸に手を当てて痛そうな感じで。痛くなったことありますか?」
カメラマンが声をかけると
「心臓? 痛くなったこと? ナイナイ! ないよー」
と中村さん。現場には笑い声が広がります。
次は山田さんの番。少し緊張した面持ちで撮影の様子を見つめています。
「深刻な顔で? はい、了解ですよ」
「イタタタタタタタ クルシイクルシイーーーー!」
中村さんはアドリブの演技を挟み、撮影もどんどん進みます。
スタッフ一同「めっちゃ上手・・・」
とてもリアルな写真が撮れました。
ふと中村さんがつぶやきます。
「あれ、今考えたんだけどね、心臓は左だったよね・・・? 」
またしても現場には笑い声が巻き起こりました。
こうして和やかに撮影は進みます。
山田さんがタブレットに表示される写真を見ながら
「まあーなんてお上手なの!」
と驚いています。
さあ、次は山田さんの番です。
ロボットと話しているようなイメージの撮影なのですが、
「じゃあ、ロボットに話しかけてみてください」
とカメラマンからのお願いされて、山田さん、ちょっと困ってしまいます。
いきなり話しかけてと言われても、困惑してしまいますよね。
でもそこはさすが山田さん、臨機応変に対応されます。
「あらー。僕、どこから来たの? めんこい(かわいい)ねー。」
と、とても穏やかな表情で頭をナデナデ。
すかさずカメラマンがシャッターを切ってゆきます。
「バッチリです!オーケーです!!!」
とカメラマンから声がかかります。
ホッと一息の山田さん。
お二人とも、とても初めてとは思えないほどスムーズに撮影が進みます。
合間にお二人に「日々気をつけていること」「定年後に始めたこと」についてお話を伺ってみました。
【中村さん】
「毎日何にもないほど辛いことない。
僕の友達にも沢山いるけどもね、早くボケちゃう人は一日誰とも会わないとかね、明日何をしなきゃならんということがない、これが一番良くないの。
だから仕事を持った方が良いのではないかと思ってね。
何かしら明日、明後日とこなすための予定がないと日にちの感覚がすぐになくなってしまってボケてしまう。だからきちんと予定を持つことが大事だと思っています。」
【中村さん】
「最近は妻が出かける時は僕が料理を作るんですよ。料理教室に通ってもう 3 年になる。
料理は楽しそうだとやりたくて仕方がなかったけど、現役の時は時間がなくてできなかった。
ずっと吹奏楽団の指揮を続けていて、これは体力もいるし楽譜なんか見ていたら絶対にボケないです。
あと麻雀も続けてますね。麻雀やっていたら良い手を作ろうとか点数数えるとか忙しくてボケる暇ないです。
そしてゴルフ。今はカートで移動する時代だけど、それでも続けるには基礎体力いるしね。」
【山田さん】
「三味線を続けています。芸者さんがお座敷でやるような端唄。歌と三味線による江戸の流行歌です。お稽古終わったらお蕎麦やさん行ったりレストラン行くのが楽しいのよ。95 歳になるお婆ちゃんも来てるのよ。お稽古は1週間に1回ですね。」
【山田さん】
「それと、健康のために週に2日、病院へボランティアに行っています。その時歩いて行くようにしていますよ。
あと実はね、去年から新しく競馬を始めたんです。テレビ中継を見て興味を持って、たくさんは買わないけど主人を誘って馬券を買ってみたんです。競馬の新聞なんかも見たりもするようになって。
そうしたら今度、騎手が見る景色ってどんなだろうって興味が湧いて馬に乗ってみたくなっちゃった。それはさすがに落ちて怪我をしたら大変だから、危ないからと家族に止められているのだけど。不良婆さんですね。(笑)」
お二人とも好奇心を大切に、健康を保つことを心がけながら「趣味を楽しむ時間と社会との接点を持ち続ける」ことを大事にしていらっしゃると伺いました。
今回のインタビューでは、お二人とも晴れやかな笑顔で生き生きとチャレンジされていて、撮影もなごやかに進みスタッフ全員に感謝されていました。
最後にお二人にご感想を伺うと
中村さん「やはり、歳を考えないで自分のやりたいことをやるのが良いと思う。」
山田さん「今日は本当に楽しかった。長生きしてよかった!」
これから「人生100 年時代」があたりまえになる世の中で、お手本になるような生き方をされているお二人に貴重なお話を伺うことができました。
中村さん、山田さん、ありがとうございました!
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