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「高額療養費制度」を知ってますか? ~200万円の医療費自己負担が10万円に~

保険で悩むシニア世代

 私が活動するNPO法人シニアわーくすRyoma21(http://www.ryoma21.jp/)のメルマガに、メンバーがこんな編集後記を書いていました。テニスで転んだ拍子に、大腿骨頸部骨折という大怪我をした人です。
「先日、生命保険会社から払込満期のお知らせと受け取り方法の選択についての通知がありました。それは、1.保険金を満額で一括受取りか、2.10年間の分割受け取りにするか、
3.修身保険を一生つける代わりに保険金は受け取らないか、という3択。結構な金額なので、年金替わりに10年間毎年受け取ることを選択とも思ったのですが、今回の怪我のことを考慮すると、人生90年時代だし、これから先何があるかわからないから、やはり終身保険かなと」。
 
 この人のように、満期保険金の取り扱いに悩む人も多いようです。私の場合は、差し当っての怪我も病気もなかったし、家をリフォームしたかったので、満額一括受け取りにしましたが。
では、リタイア後の保険をどのように考えたらいいのでしょう。今回は、基本的なところを調べてみたいと思います。
 まず、個人保険の前に、日本は国民皆保険の国ですから、国の保険の保障がどうなっているかを知る必要があります。国民保険で不足する部分を補てんするのが個人保険の考え方です。本末転送にならないように気をつけたいところです。

「高額療養費制度」を知ってから判断

 通常、私たちの医療費負担は、70歳未満であれば3割、70歳から74歳は2割、75歳以上は1割と決まっています。
例えば、私が風邪やちょっとした病気をいつもの先生に診てもらい、窓口で1200円を支払ったとしたら、実は、その3倍の医療費3,600円もかかっているのです。これは医療費を無駄遣いしないためにも知っておきたい知識です。

 それはともかく、心配なのは、大ケガやガンなどになって医療費が高額になった時に、払うことができるだろうかということです。民間の医療保険や生命保険は、その万一のために加入するわけです。
しかし、国民皆健康保険制度には高額になった医療費を補てんする「高額療養費制度」というものがちゃんとあります。まず、これを理解しましょう。

□70歳未満の方
(同じ人が同じ月に同一の医療機関の医科または歯科に支払った医療費が21,000円以上の分が対象です。)
(平成27年1月~)

□70歳以上75歳未満の方

(注1):過去12か月間に、高額療養費の支給が4回以上あった世帯の4回目以降の限度額
(注2):70歳~74歳で住民税課税所得が145万円以上ある被保険者が世帯にいる場合。ただし世帯収入が1人世帯で383万円未満、2人以上の世帯で520万円未満の場合、または平成27年1月2日以降新たに70歳となった被保険者がいる世帯で、基礎控除後の総所得金額等の合計額が210万円以下の場合を除く
(注3):総医療費が267,000円を超えた場合は、その超えた分の1%を加算(3回目まで)
(注4):世帯の全員が住民税非課税の方(低所得者Ⅰ以外の方)
(注5):世帯の全員が住民税非課税であって、年金収入80万円以下で、その他の所得のない世帯の方

 「高額療養費制度」は所得によって異なりますが、1か月の自己負担額が一定の額を超えた場合、超えた分を支給する制度です。詳しい条件は「世帯の月額の自己負担限度額」の表を見てほしいのですが、
 例を上げて説明します。例えば、67歳で収入が400万円の人が大怪我や大病で200万円もの手術・入院費がかかってしまったとします。
 表によれば、「ウ」に該当しますので、そこにある計算式に当てはめてみました。結果、なんと!10万円に満たない自己負担で済むことがわかります。有難い制度ですね。

81,000+(2,000,000-267,000)×0.01=98,330円

 もちろん、10万円でも厳しいという人や差額ベッド代や交通費などの諸経費が心配だという人が、民間の医療保険に加入して備えればいいのです。人によって事情が違うので、自分の状況などをしっかり見極めて判断してください。

 もうひとつ要検討なのは、現役時代、万一に備えて家族のために入った高額な生命保険は、子供が独立したリタイア世代にはもう必要ないかもしれません。2万も3万も保険料を払っているなら、もっと安い掛け金の医療保険に替えて、余ったお金は貯金するか、自分やご夫婦の楽しみのために使うほうが得策ではないでしょうか。
 
 ただ、昔の生命保険の中にはとても有利なものがあり、それを解約してしまうと、もったいないことになる場合があります。一度、ファイナンシャルプランナーなどに相談してみるのがいいでしょう。

不摂生な人には保険料負担増を検討

 ところで、高額療養費制度があるからといって、安心はできません、国民保険の財源も厳しくなってきているので、新しい考え方が登場してきました。年数370万円以上の70歳以上の負担を69歳以下と同じ水準に引き上げようなどという検討がなされています。

 また、健康管理をしっかりやっている人と、不摂生で生活習慣病になった人が同じ自己負担で治療が受けられるのはおかしいので、、努力しない人の保険料は上げようという考え方も出てきました。
確かに、多忙だなどと理由をつけて健康診断を受けない人、糖尿病と診断されても通院しない人、処方された薬をきちんと飲まない人は少なくないのです。

 耳の痛い方も多いのではないでしょうか。これからでも遅くないので、改善を心がけましょう。これは、お金の問題だけでなく、ご自身や家族のセカンドライフのあり方の問題でもあるのです。
介護保険や特定の保証をする生命保険などに関しては、また別の機会に考えてみたいと思います。

シニアライフアドバイザー・松本すみこ

松本すみこ有限会社アリア代表取締役、「NPO法人シニアわーくすRyoma21」理事長。
シニアライフアドバイザー、キャリアコンサルタント、カウンセラー。
早稲田大学第一文学部卒業。IT関連企業に勤務後、2000年に起業。
企業、行政・自治体、研究機関、メディアなどで、シニア世代の動向研究とライフスタイル提案、市場コンサル、講演・講座の講師、執筆活動などを行っている。2002年、50代以降を中心としたコミュニティーを組織し、2007年NPO法人化。著書に、『地域デビュー指南術~再び輝く団塊シニア~』、「そうだったのか! 団塊マーケット 本気で取り組むビジネス戦略」など。

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