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自分を癒してくれた富士山を撮り続ける 静岡県富士宮市 島野孝一さん

見よう見まねで富士山を撮ったら

 島野さんにはカメラの趣味もありました。しかし、この時点では様々な被写体に関心があり、それほど富士山に熱心だったわけではありません。富士山写真家になるためのきっかけが必要だったのです。
 富士宮に移った年、ちょうどNHK静岡放送局が富士山写真コンクールを開催しました。その写真展でたくさんの富士山の写真を見て、富士山はこんなにいろいろな表情を見せるんだと、驚いたのです。そして、自分の中の富士山への関心がさらに高まり、見よう見まねで富士山を集中的に撮り始めました。

つるし雲

 翌年、島野さんもNHKの富士山写真コンクールに応募。すると、思いがけないことに、入選。その次の年には、市民文化祭で芸術大賞をもらってしまいました。さらに富士山撮影への思いは高まり、いつしか富士山ばかりを撮影するようになっていました。
 そして、2006年に写真集『富士山風雲禄』を出版。屏風のように立てて楽しむ経本のスタイルの写真集は広げると4メートルという珍しい装丁。そのおかげで、装丁コンクールで審査員奨励賞となり、ドイツの世界大会に行ったこともありました。

富士山撮影三昧の日々へ

 島野さんは60歳で、東京農大の「食と農の博物館」を最後に退職。65歳までは働けたのですが、仕事の合間に富士山を撮るしかなかった日々から、好きな時に、好きなところで富士山を狙って撮れるリタイア生活のほうを選びました。
 2013年には、義理のお父さんが運営していたスーパーを改装し、島野さんの写真専用展示館をオープンさせました。このギャラリーを使いたいという人にはレンタルや自主企画のイベントも行っています。

ギャラリー

ギャラリーで開かれたコンサート

 ずっと富士山を取り続けいると、少しずつ心境の変化もあります。最近は、全国にある「富士」と名のつく山にも関心が向くようになりました。富士山と名のつく山は全国に330ほどあります。現在は、日本100名山や200名山と被る「ふるさと富士」を集中して影行を行っている様子。今年のターゲットは出羽富士・秋田富士と言われている「鳥海山」ですと、近況を知らせてくれました。リタイア後の多くの自由時間を、全国の富士を訪れ、「終わりのない旅」として撮影を続行する日々です。

 島野さんはこうも言います。「2016年、65歳となって本来の定年年齢となりました。
 最近感じるのは、やはり60歳の時とはフットワークが違うな…ということです。町内や所属団体の役割も増えて、自由度が狭くなってきました。だから、60歳で活動を始めたことは正解であったと思っています」。
 島野さんのように、自分にとって大切なものを見つけること、それに真摯に目を向け、そこに自分なりの価値を発見すること。これは、趣味や仕事を問わず、人生をさらに豊かなものにしていく方法でもあるのでしょう。

■島野孝一さんのFacebook
https://www.facebook.com/koichi.shimano.1

黄金富士

シニアライフアドバイザー・松本すみこ

松本すみこ有限会社アリア代表取締役、「NPO法人シニアわーくすRyoma21」理事長。
シニアライフアドバイザー、キャリアコンサルタント、カウンセラー。
早稲田大学第一文学部卒業。IT関連企業に勤務後、2000年に起業。
企業、行政・自治体、研究機関、メディアなどで、シニア世代の動向研究とライフスタイル提案、市場コンサル、講演・講座の講師、執筆活動などを行っている。2002年、50代以降を中心としたコミュニティーを組織し、2007年NPO法人化。著書に、『地域デビュー指南術~再び輝く団塊シニア~』、「そうだったのか! 団塊マーケット 本気で取り組むビジネス戦略」など。

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コメント
  1. みんな素晴らしい富士の写真ですね。当地に住んでいないとなかなか撮れないと思います。感動しました。

  2. 素晴らしい富士山の写真を有難うございます。
    東京に住んでいるものでです。
    猪之頭近辺の西富士が好きでよく撮りに行きましたが、年を取り車も手放し行く機会も減り、
    皆さんの写真を見せていただくのを楽しみいしています。
    有難うございました。

  3. 素晴らしい写真ですね。小生も富士の写真が大好きでよく撮影に行きましたが、最近は後期高齢になったこともあり、遠くへは出かけなくなってしましました。時々葉山などに出かけて遠くからの富士を撮りたいと思っているのですが、それも季節で限定されてしまいますね。これからも素敵な写真をお願いします。ISHII

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