第19回 陰陽のバランスを考える
●互いに助けあっている
今回は陰陽のバランスについて考えてみましょう。
宇宙も人も、陰陽のバランスを保つことで成り立っているという考え方です。
図は太極図といい、陰陽のバランスの考え方を表しています。黒は陰、白は陽を表しています。
陰陽とは、日向と日陰、左と右、男と女、夏と冬のように、反対の位置にあるものです。
しかし、よく考えてみると、陰と陽はお互いに助け合って存在しており、両方の存在がなければ、片方だけでは存在すらありえないものです。
また、ここからは日向、ここからは日陰ときっちり線を引くこともできません。いま日向だった場所も徐々に移ろって、日陰になります。日陰だった場所にも同じことが言えます。夏の盛りには、静かに冬の準備が始まっており、冬の盛りには、密やかに、夏の準備が始まっています。大寒の日には既に、木の芽が春を待っているのを観ることができます。
また、エネルギー(陽)と食物(陰)で考えると、食物を消化するためにエネルギーを使い、それによってまたエネルギーが生まれるような相互の関係を持っています。
体の中では、陰と陽の働きが互いに協力しあい、また牽制しあってバランスを保っています。陰陽関係を基に考えると、このバランスが上手にとれているときが健康であり、バランスを失ったとき、病気になったといえます。
●大事なのはバランス
老化ととともに、全体のエネルギーレベルが下がってきます(図の大きさが小さくなってくると考えます)。
バランスを保って低くなっている場合は何の問題もありませんが、男女差、個体差がありますので、陰陽どちらかが偏ってレベルダウンしてくることのほうが多いと思われます(図が歪んでいると考えます)。このとき、なんとなく体の調子が悪いと感じることになります。
どちらが下がっているかを見極めて、補陰、補陽ということが必要になります。この「補う」という考え方が中医学の優れた点と考えられます。
補陽の薬としては、鹿耳(ろくじょう)、冬虫夏草(とうちゅうかそう)、蝦(エビ)、韮(ニラ)、胡桃(クルミ)、長イモなどがあります。また補陰の薬としては、百合(ユリ)、クコ、胡麻(ゴマ)、黒豆などがあります。
韮は肝・腎・胃経に入り、蝦との取り合わせは補腎の観点からとてもよいと考えられます。さらに、お腹を温め、気をよく全身に巡らせます。
韮子(きゅうし)といわれる成熟種子は補腎壮陽の効果が高く、インポテンツ、遺精、頻尿、白色帯下(おりもの)などに使います。
北京で習った料理ですが、生姜と酢を使っているところも心憎いですね。
☆次回は「百合根」のお話です。どうぞお楽しみに。
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