第23回 冬の養生 ~腎を大切に~
立冬も過ぎて、体も自然界も冬の準備を始めました。
五行表をご覧ください。
〇冬は腎の季節
冬は 寒 の季節で、臓腑との関わりで言うと 腎 の季節です。
寒邪の特性は寒い・冷たい・陰です。寒さにより気血の停滞・収縮がおこります。また寒邪におかされると、陽気が傷つくので、悪寒がおこり、手足が冷えます。
気血が順調に流れないために痛みが起こると考えています。寒邪のとどまる場所によって、気血が滞る場所によって、頭でしたら頭痛、節節でしたら関節痛、曲げ伸ばしができないなどの症状となって現れます。
寒邪に対しては熱・温の食べ物で対処できます。体を中から温めて気の流れをよくし、痛みを緩和します。暖かいものといえばすぐにいくつか思い付くに違いありません。おでん、シチュー、生姜・ウイキョウ・唐辛子などの香辛料を使った鍋物が代表的なものです。鍋物は空気の乾燥も防ぎますので、ウイルスの防御にも最適です。
さらに、冬の間には腎を補う、丈夫にする食物を摂ることが求められます。冬の間に風邪を引かないためでもありますが、次に来る春の風邪(ふうじゃ)に抵抗するためでもあります。腎に入るものとしては蝦・ニラ・栗・枸杞(クコ)・黒豆・黒胡麻などがあります。黒は五行表にあるように腎を補う色です。しいたけ、黒きくらげ、昆布など黒いものを食卓に乗せてください。
〇生殖・成長・発育を司る腎
中国医学でいう腎には水分調節のほかに、もうひとつ大切な機能があります。こちらのほうがより重要です。それは精気を貯蔵し、生殖・成長・発育を司るというものです。
腎は先天の精、後天の精を貯蔵しています。親から受け継いだ先天の精はもともと腎にありますが、飲食物を脾胃が消化吸収した後天の精のうち、余ったものがまた腎に貯えられます。腎精がなければ生殖活動に支障をきたし、誕生後の成長も発育もなく、新陳代謝も行われません。14回でお話した年齢を重ねる話はこの腎の働きを成長を追って展開しているものです。
さらに耳・骨・髪を司り、髄を生ずるところとされていますので、腎が健全であれば、耳・骨・髪はみな健全でいられます。
逆に、腎機能の低下により、耳がよく聞こえなかったり、耳鳴りがしたり、骨がもろくなったり、髪につやがなく、抜けやすくなったりします。
また髄を生じ脳髄とつながっているので、脳の衰え・健忘症と関わっています。
このように中医学で言う腎は、私たちがこれまで知っていた腎臓の働きだけではなく、生殖・成長・老化をも司っていることがわかります。腎が健全でなければ、遺精・不妊・発育不良・足腰が弱い・健忘・尿量減少・夜間多尿・耳鳴り・盗汗・動悸・不眠などの諸症状が現れてきます。また腎の衰えは体全体に影響するため、病気が治りにくい、抵抗力が落ちるなどの結果となって現われます。腎を丈夫にすることは生命を維持し元気に長生きすること、ということが言えます。
この冬は腎を大切にしてさらには補って、よい春を迎えたいものです。
☆次回から3回は紅花、当帰、トウチのお話と、それを使った冬のスープを紹介します。
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