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体に合った食物を摂る薬食同源レシピ チャイナハーブ研究家:向當充子 「自分の体に合った食事を自分で考える」ことができるよう、四季の食材・香辛料(ハーブ)を使ったレシピをご紹介していきます。

 

第32回 春の養生 ~肝を大切に~

●風の影響を受けやすい季節

 立春が過ぎ季節は春を迎えました。まだ寒いとお思いでしょうが、今から春の養生を心に留めて備えをいたしましょう。
 これまでお話したように、人間は自然の中で生活しており、自然界のさまざまな影響を受けています。春は特にそのことを感じます。
 春は、木の芽が青々と芽吹き、生物が生まれ育つ季節です。
 五行表を見ると春を代表する言葉は 風 です。風の影響を受けやすい季節と言えます。花粉症に代表される 春の風邪(ふうじゃ)により、目が痒い、涙が出るなどの症状がでます。風邪は万病のもとと言われていますが、「かぜ」ではなく「ふうじゃ」と読むとよく理解できます。風がからだの中で吹き荒れると、高血圧、眩暈、目の周りがひくひくするなどの症状になって現れます。
 風邪(ふうじゃ)は、まだ体の表面にあれば発散することで治療できます。ネギ、生姜、シナモン(桂皮)、ハッカなど発散する食物がよいでしょう。

●春は肝の気が滞らないように

 臓腑との関係では、春は 肝 の季節です。
 肝は、のびのびしているのが好きな臓器なので、ストレスにとても弱いのです。困ったことに春は、精神的に不安定になりやすく、ストレスを受けやすくなる季節で、イライラして怒りっぽくなったりしがちです。肝の気が滞ることのないように、ハマナス、菊花など肝に入るお茶を飲んで気分をゆったりさせることが必要です。
 イチゴや柑橘類(かんきつるい)のさわやかな酸味は、肝の気の上昇を収める働きをします。もうすぐ最盛期を迎える甘夏で、マーマレードを作ってみてはいかがでしょう。部屋中に柑橘類の精油の香りが漂い、アロマセラピーの効果があります。
 さらに肝の臓血作用能力を向上させるために、アサリ、ハマグリ、シジミ、タニシ、アワビなどの貝類、枸杞(くこ)、ニンジン、ほうれん草、レバーなど肝に入るものの料理が望まれます。春は潮干狩りの季節。貝類も栄養を蓄えて待っています。
 また、苦いものも、下に降ろす作用があります。陽気を抑える意味で、ウド、フキ、タラの芽などほろ苦い春の野菜を食べることは、意味のあることです。これらの野菜たちは、春、私たちのために芽を出すとも言えます。
 眠い季節ですが、自然の陽気を受けるためにはできるだけ早起きがよいでしょう。

●肝の働き

 五行表を参照してください。
(1) 疎泄(そせつ)をつかさどる
 肝気は疏泄を通じて、気を臓腑、気血、経絡、器官を伸びやかにし、その機能が充分果たされるようにしています。肝気のうっ血は胸脇・乳房・下腹部両側などの張った痛みになって現われます。肝気が脾、胃を犯すと、脾胃の消化機能、胆汁の分泌・排泄に影響し、上腹部の疼痛・悪心・嘔吐・下痢などが見られるようになります。
 気の滞りから、血の滞りに発展すると、腹腔内の腫瘍塊・しこりなどが作られます。
 精神情志活動は心神が主体ですが、肝の疏泄と密接に関連し、疏泄が正常で興奮や抑鬱がなければ、愉快でのびのびし、理解力、思考力が鋭く、気分も落ち着いていることができます。
(2) 血を蔵(ぞう)する
 血液を貯蔵し、血流量を調節する機能をもちます。
 肝血の不足は目に表れ、目の乾燥、異物感、かすむなどの症状となります。筋にあらわれると筋肉のひきつり、肢体の痺れ、運動障害となります。月経血量、無月経にも関与しています。血液の妄行は吐血・鼻出血・月経過多・不正性器出血などの出血傾向となって現れます。
(3) 筋・目・爪をつかさどり、涙を生ずる
 肝血が充分に濡養(じゅよう)されていれば、筋の動きはスムーズで、正常な運動が行われます。爪は筋の余りとされ、肝血の不足は爪の厚さ、光沢に影響します。涙は肝の液とされ、肝血の不足は目の乾燥感、異物感を生じます。

※1 五行表について

☆次回は「ほうれん草」の予定です。どうぞお楽しみに。

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