【賢者の養生訓】アガサ・クリスティとハーブティー

薬のプロフェッショナル

名探偵ポアロシリーズなどで知られる英国のミステリー作家アガサ・クリスティ（1890～1976）は、第一次世界大戦中、病院の薬局に勤務する薬剤師でもありました。

その経歴は作品にも生かされています。クリスティ女史の作品は毒殺事件が多いことで知られていますが、毒薬の性質を巧みに利用したトリックが鮮やかです。薬の知識については、当時の薬学専門誌も「十分知識のあるやり方で毒薬を扱っている」と評価していました。

毒薬とは正反対の、身体や心を癒す「薬草（＝ハーブ）」も作品の随所で効果的に用いられています。

テレビドラマにもなった名探偵ポアロシリーズ「猟人荘の怪事件」では、捜査に出かけた先で風邪で寝込んでしまったポアロのために、地元の人がブラックベリーティーを作ってくれる場面があります。

また、クリスティ女史が生んだもう一人の名探偵ミス・マープルが登場する「パディントン発4時50分」では、事件を目撃した友人の興奮を鎮めるため、マープルがカモミールティーを飲ませます。

いずれも、当時の生活にハーブが深く根付いていたことをうかがわせるものです。晩年まで執筆を続け、85歳の天寿を全うしたクリスティ女史も、ハーブティーをはじめ、健康のため日々の生活に上手にハーブを取り入れていたことでしょう。

ハーブティでリラックス

ハーブは、ヨーロッパなどでは古くから民間療法の一つとして健康維持に用いられてきました。

ハーブが心身に及ぼす作用や効果については、まだ未解明な部分も多いものの、確かにハーブの香りをかぐと、心が落ち着く、癒されるという人は多いようです。

香りや味を楽しむハーブティーなら、手軽にハーブを取り入れることができそうです。イライラしたり疲れたときのリフレッシュに、ゆっくり過ごす休日のリラックスタイムに、いつものコーヒーをたまにはハーブティーに換えてみてはいかがでしょう。

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